サザエさん―女性の身だしなみ(4)
ありのままで・・・・と歌声が聞こえてきます。ありのままがいい、という変わった殿方もいます。
朝日文庫版42巻〔118頁〕・昭和46年
『メガネをかけて、刈り上げた髪をポマードで固めた紳士が、BARのドアーを押して入ってきました。お店の中には、ツケマツゲで眼元をメイクし、口紅を真っ赤に縫った、長ーい髪も、茶色に染めた、鼻も高い、ショートのワンピースを着た女の子がタバコを吸いながら立っています。彼女は、紳士を見ると「いらっしゃ~~い」と派手な声で招き入れています』
『店の奥には、二人の美女がいます。長いツケマツゲ、高い鼻、口紅を真っ赤に塗った小さめの唇、アップにしたショートカットの髪、胸もとにはコサージュかブーケのような造花の飾りをした小顔の女の子が、細い指の手で、紳士の方を指し示して「センセイよ~」とよんでいます。その横にいる、これまた長いツケマツゲをつけ、小さい唇に真っ赤な口紅を塗り、髪を和風に束ねあげ、その束ねた髪に簪を突き刺して、着物を着た小顔の女の子が、タバコを燻らしながら「なおみちゃ~ん」とよんでいます』
『すると、BARのカウンターの方から、大変な女の子が飛びだして来ました。大きな顔、鼻の穴も大きいダンゴっ鼻、横に大きい部厚い唇を真っ赤な口紅で強調し、丸太のような太った体をロングのワンピースで包んだ女性が、バカに長いネックレスをザワザワと揺らしながら、「ハーイ」と大きい声を出して走ってきました』
『○○○○』
一体全体、なんだ、と思いませんか?
『○○○○』は残酷な光景ですから、直ぐに見てみます。
女性は、綺麗でなければならないと、仰っていた作者は、どうしてこんな姿の女性をお描きになったのでしょうか?
『○○○○』はこうでした。
『髪をポマードで固めた紳士がソファーに腰かけています。その傍になおみちゃんが腰かけ、なおみちゃんは、美女ということは絶対できない、先ほどの顔、を紳士の胸に埋めて嬉しそうです。紳士は、「ありのままがいい、ありのままが」と繰り返して言いながら、嬉しそうに、顔面を崩し、ウイスキを飲みながら、なおみちゃんを抱きよせています。たまたま、バーに来ていたマスオさんに、胸元を造花のブーケで飾っていた美女が「美容セイケイのせんせいよ」と教えてくれました。マスオさんは、キョトンとして、抱き合っている先生となおみちゃんを見ています』
この美容整形の先生が言っている「ありのままがいい、ありのままが」は意味深長ですね。
このバーの二人の美女は、大変綺麗です。
しかし、この美女たちも、この先生が、成形したのでしょうか、だから、二人のセイケイする前を知っている。
「あんた達も、この女性と同じようなものだったんだよ」
だから、ありのままで良いんだと言っているのでしょうか?
今年は、
「ありのままが良い」
と何度も聞きました。
幼稚園の孫までが、繰り返し、繰り返し、
「・・・・・ありのままの姿見せるのよ、ありのままの自分になるの・・・・」
と歌って聞かせてくれました。
しかし、アナと雪の女王の『ありのまま・・』と、美容整形の先生の『ありのままが良い』とは全く違います。