サザエさん―意外な落ち(2)
家でボーっとしている男は、会社でもボーツとしています。絶対モーレツ社員ではありません。
朝日文庫版40巻〔49頁〕・昭和45年
『大きな鼻、横に広がった鼻の穴が目だつ、顔のデカイ男が、丹前を着てコタツに入り、テレビを視ながら、ボーツとして鼻の穴をほじくっています』
『テレビを見あきたのか、炬燵から抜け出しゴローンと大の字に寝転んでいます』
『意外と美人の奥さんが、枕を持ってきて、男の頭の下に敷いてあげています。するとそこに、中学生くらいの男の子、高学年の小学生の女の子、そして、遊びに来ていたのかワカメちゃんまでいて、寝ぼけている男を呆れて見降ろしています。奥さんは、子供たちに、「モーレツ社員ほどおウチじゃまるたン棒みたいなんだって」とかばっています』
『○○○○』
『○○○○』には、奥さんの言う、このモーレツ社員ぶりが描かれていると思います。
例えば、
会社の事務室で、部下を叱りつけています。
「おい貴様、俺が言いつけていた通り、○○社に出かけたか?おれが命じていた通り商談を進めたか?何、相手が値引きを要求してきた!バカ野郎!!わが社の製品は、そんな安値で卸せるような商品ではない。よーく、わが社の製品の品質を説明し値引きを断ってこい。ジャパネット○○のように値引き致しませんと断ってこい!バカ野郎!」
と猛烈に部下を叱り付ける猛烈ぶりなのでしょうか?
ところが、この男は、奥さんの言うように、猛烈社員ではありませんでした。
『○○○○』には、猛烈どころか、家でボーっとしていた男は、会社でもボーっとしていました。
実は、こうでした。
『男は会社の事務室の机に座り、家のテレビの前でやっていたように、ボーツとして大きな横に拡がった鼻の穴に人差し指を突っ込み鼻くそをほじくっています。後ろの方には、数名の女子社員が、机で書類を書いたり、揃えた書類を運んだり、忙しそうに仕事をしています』
家でボーツとして、だらしない男は、生まれながらの性格なのでしょう。会社でも皆が懸命に働いていても、ボーっとしています。
奥さんの言うようにモーレツ社員ではありません。
モーレツ社員とは、奥さんの思い違いか、
我が子やワカメちゃんに、お父さんは家で丸タン棒のようにしているけど、実は、会社では猛烈社員なのよと思わせたかったのでしょう。