サザエさん―面白い落ち(106)

 

専務室に、不意に奥様が現れた時、専務の膝の上は、女子事務員ではなく、マスオさんが腰かける場所です。

 

朝日文庫版37巻〔14頁〕・昭和43年

『マスオさんが勤めている会社の専務室です。専務がデスクの前の豪華な椅子に座っています。ただ一人座っているのではありません。専務は、ミニスカートの若い女子事務員を膝の上に座らせて、スケジュールを書かせています。そこへ、マスオさんが「センム!!」と大声で叫びながら入ってきました』

『マスオさんは、専務の膝に腰かけていた若い女子事務員を、思いっきり突き飛ばすと、「オクサマです!」と言いました。専務は、身をのけぞらせて驚いています。女子事務員は、専務の膝の上から滑り落ちお尻から落ちてビックリ仰天のようです』

『マスオさんは、女子事務員を急いで隣の部屋に押し込みました。専務は、息を吐きだし、ホッとした様子です』

『オシャレな小さな帽子を被り、ワンピースの細身の、かなりお年の専務夫人が部屋に入ってきました。部屋に入った奥様が目の前に見たのは、不思議な光景でした。専務の膝の上にマスオさんが腰かけて、手にノートを持ち、何かを書いているような格好をしています。専務の膝に腰かけているマスオさんを見て、専務も、専務の奥様もキョトンとしています』

 

マスオさんは、専務にとって機転のきく忠実な部下です。

専務であることを良いことに、会社の中でやってはならぬことをしている時でも、奥様が不意に会社に現れると、「奥様です!」と素早く教えてくれます。

 

今回、奥様が現われた時は相当慌て、気が動転したのでしょうか、

多分、マスオさんは、専務は、いいことをしていると羨ましかったのかもしれません。

だから、奥様が来た時、女の子を思い切り突き飛ばし、その後、無意識とは思いますが、その瞬間まで、専務がやっていたことを再現して奥様に見せてあげねばならないと、思わず、専務の膝の上に腰かけてしまったのだと思います。

女の子でなく、男の俺だったら問題ないだろう!

 

マスオさんの業務遂行能力の高さに、ただただ、驚いてしまいました。

マスオさんは、時折、専務が女子事務員を膝の上に乗せ仕事をしているのを羨ましく思っていたのでしょう。

 

専務室に、不意に奥様が現れた時は、専務の膝の上は、女子事務員ではなく、マスオさんが腰かける場所です。