サザエさん―面白い落ち(105)

 

お肉屋さんのご主人は、芦田伸介によく似てると言われ、高いお肉をオマケしました。

 

朝日文庫版35巻〔130頁〕・昭和42

『大きいお肉屋さんです。冷蔵の陳列ケースの奥で、お店の恰幅の良い、子豚のように太ったコック帽を被り白衣を着た、お店のご主人が、奥さんに「値上げのぶんはあいきょうでおぎなうんだ」と言い、「いいな」と、2本の包丁を打ち合わせて砥ぎながら、念を押しています。これまた、子豚のように太った奥さんは、エプロンを着けながら、「アイヨ」と答えています』

『お店に、中年のおばちゃんがやってきました。ご主人は、威勢よく、「ヒヤ~奥さまのいっもお若いこと!!」と元気な声でお世辞を言いながら歓迎しています。お客の奥さまも、元気な声で「いよ~芦田伸介!」と声をかけています』

『芦田伸介と言われて、ご主人は、人差し指で自分をさして、大きく口をあけ、大げさに驚いています。お客のおばちゃんは、「みんなそういってるわよォォ」と言いました』

『そう言われて、ご主人は、中年のおばちゃんが注文したお肉をハカリで計ったあと、「えーいオマケだ!」と言うと、更に、たっぷりのお肉の塊をオマケに加えました。すると、お主人の後ろに奥さんがやって来て、ご主人のお尻を右足で思い切り、蹴りあげました』

 

現在、お肉は、相変わらず高いですね。

この頃も、お肉の値上げが続いていたようです。お肉が高いと美味しいスキヤキも食べられません。

お肉屋さんも、値上がりした高いお肉を買ってもらうには、どうすればよいか、考えているようです。

 

このお肉屋さんは、値上がりしたぶんは、愛嬌でおぎなおうというグッドアイディアを思いついたようです。

値上げ分を、愛嬌でおぎなおうとはどういう事か判りませんが、愛想よくお客に接するということでしょう。

 

お客さんが来ました。

愉快なおばちゃんで、肉屋のご主人が、愛想よくいらっしゃいませとでも言い、愛嬌の良い顔をしていると、

おばちゃんは、それに合わせて、「いよー芦田伸介!」そして、「皆そういっているわよ」とつづけて言いました。

そういわれて、ご主人は、その気になってしまい、高いお肉のオマケをしてしまいました。

 

肉屋の奥さんは、「値上げのぶんはあいきょうでおぎなうんだ」「いいな」と言われ、「アイヨ」と答えたものの、芦田伸介と言われて、いい気になり値上がりした肉を、オマケしている主人が憎らしくなり、お尻を思い切りけり上げました。

芦田伸介氏は、ご存じでしょう。

1917.03.14~1999.01.09の渋い男優さんで、刑事役がよく似合う男優さんでした。

多分、その頃、中年のご婦人たちに人気があったのでしょう。

お肉屋さんのお主人は、お客に愛嬌を振りまくつもりが、逆にお客に愛想いいことを言われ、良い気になってお肉をオマケしていると、奥さんは、儲からない、と怒ってしまうでしょう。