サザエさん―素直な落ち(23)
マスオ兄さん!ワカメちゃんは、マスオさんの妹の子供ではありません。マスオさんの妻の妹です。簡単に言えば、マスオさんの義妹です
朝日文庫版32巻〔78頁〕・昭和41年
『マスオさんが、街の中を歩いていると、大変な美人と会いました。その美人は、髪をアップにした、鼻がツゥ―ンと高く、和服を着て、コートを羽織り、ショールをかけた、淑やかそうな姿です。コートを着てソフト帽をかぶったマスオさんは、そんな美人と逢い、気を奪われ、良くみると、幼馴染の女性でした。マスオさんの頭の中に、その美人の、かつてのセ―ラ服姿がよみがえり、思わず、「おさななじみのユキエさん!!」と声を出してしまいました。相手の女性も、マスオさを見て、思いがけない出会いに、かつての学生服姿のマスオさんをお思い出し、「マア!」と驚いています』
『マスオさんの後ろに、ワカメちゃんがいました。マスオさんは、ワカメちゃんと外出していたのです。幼馴染の女性は、ワカメちゃんを指さして「どなた!」とマスさんに聞きました。ワカメちゃんは、女性をジッと見あげています』
『マスオさんと女性とワカメちゃんは、喫茶店に入り、コップの中の飲み物を、ストローで飲んでいます。幼馴染だった二人は、昔の話などで、はずんでいるようです。ワカメちゃんは、コップの中の飲み物を、ストローで飲むことに夢中のようです』
『マスオさんとワカメちゃんは家に帰りました。居間の卓袱台の回りに、サザエさんとお母さんが座り、疲れているようなワカメちゃんは、卓袱台の下に足を突っ込み、仰向けに寝転んでいます。そして、お母さんとサザエさお姉ちゃんに、「あたしマスオ兄ちゃんの妹のこども?」と聞いています。それを聞いて、サザエさんは「なにってんのよ」と、お母さんは「こどもっておかしなこと言うわね!」と、二人とも笑いこけています。その時、マスオさんは、頬を赤らめ、知らぬ顔をして居間を通り過ぎていきました』
ワカメちゃんも、いろいろと心配ごとがあるようです。
つい先日は、お父さんの若い頃の写真を見て、その中にいる髪がフサフサの男の人が、現在のハゲ頭のお父さんとアマリにも違うので、お母さんが再婚し、今のお父さんは、本当のお父さんではない、と悩んだことがありました。
ワカメちゃんは、今日も、思わぬ出来事があって悩みました。
ワカメちゃんが言うには
「今日は、マスオお兄ちゃんと、街へ外出したら、マスオお兄ちゃんが、大変綺麗な女の人と会いました。二人は、親しそうに、大喜び、喫茶店に入って、いつまでも話しをしています。綺麗な女の人は、マスオお兄さんと一緒の私を見て、お兄ちゃんに「ドナタ」と聞きました。
マスオお兄ちゃんは、私のことを、「僕の妹の子供です」と言ったのです。
ワカメは、これは違うと思うのです。
「おにいちゃん、それは間違いだよ。お兄ちゃんは、わたしのことを「僕の妻の妹です」と紹介しないといけないんだヨ」
ワカメは、お兄ちゃんの言った
「僕の妹の子供」
ではないと思うので、お母さんとお姉さんに聞きました。
ところが、お姉さんは「なにってんのよ」。
お母さんは「こどもっておかしなこと言うわね!」
と真面目に考えてくれません。
本当のことを、判っているのは、マスオお兄さんだけだ。
お兄さんは、まだ、独身だと思わせたかったのかな?
「ボクは結婚しました。この子は妻の妹です」
とハッキリ言えない、お兄さんなんか、ワカメは嫌いだ。