サザエさん―面白い落ち(100)
仕立券付きの雑巾
朝日文庫版31巻〔106頁〕・昭和40年
『カツオ君が、サザエさんの前にリボンで飾った袋を、「おねえちゃんタンジョウビおめでとう」と言いながら差し出しています。サザエさんは、「ありがとう」とお礼を言い嬉しそうです』
『サザエさんは、カツオ君の目の前で、袋から中に入っているものを取り出しました。袋の中に布切れが入っていました。サザエさんは、その布切れを拡げて、悲しそうな顔をすると、「ぼろのタオルじゃないの!」とガッカリしています。そんなお姉さんを見て、カツオ君は、「不況だからほんの実用品だけど」と殊勝なことを言っています』
『カツオ君は、サザエさんが手にしている布切れを、「ちがうよぞうきんだよ」と引っ張りました。すると、その布の中から、小さな紙切れがポロリと落ちまし』
『カツオ君は、「お仕立券つきだぜ」と言うと、裁縫道具を持ってきて、サザエさんにプレゼントした正方形に切り揃えた布切れを縫い始めました。サザエさんは、布の中からポロリと落ちた、『お仕立券と』と書いた紙切れを怪訝そうな顔をしてしみじみと見ています』
昔のことを、懐かしく思いだしました。
国民小学校を出て、新制中学校になると、家庭科の科目があり、男の子も、裁縫を勉強しました。
確か、雑巾を縫う事から始めたと思いだしました。
縫い針に糸を通し、布の端に、針を動かしました。確か運針と言ったと思います。
カツオ君のように、折角学んだ裁縫を、お姉さん喜んでもらおうと、自家製の雑巾をプレゼントしたようなことは、しませんでした。
しかし、その頃、針の穴に糸通すのは、楽に出来ました。
しかし、今は、糸を針の穴に通すのが、大変難しくなりました。
お仕立券付きというカツオ君の発想は楽しいですね。
家の大きい孫は、高学年になった今はしなくなりましたが、低学年の頃、似たようなことをしていました、お仕立券ではなく診察券でした。
彼の診察券は、「しんさつけん」
患者の名、住、電、
先生の姓・名
病院名が細かに書いてありました。
ウラがありますと書いてあるので、ウラを見ると、枡目があり、オモチャのハンコをうつような欄がりました。
そして、最後の欄に、
ポイントが全部たまるといいことがあります
と書いてあります。
その病院に行くと、オモチャの聴診器があり、診察してくれます。
診察が終わると、ハンコを打って返してくれます。
しんさっけんの裏の枡目を全部埋めるには、まだまだ、いろいろべの病気をしなければなりません。
しんさつけんの最後には、
「またのごりようをおまちしています」
と書いてあります。
まっているようですから、行かねばなりませんが、お陰さまで元気ですから、このところ、その病院に行っていません。
だから、ポイントもたまらず、
どんないいことがあるのか
楽しみにしています。
サザエさんの誕生祝いに、習い始めた裁縫で、お仕立券付き雑巾を縫ってあげるカツオ君のアイディアは、楽しく笑えました。