サザエさん―判らない落ち(18)
言葉づかいが、判らないと落ちが判らない。
朝日文庫版23巻〔132頁〕・昭和36年
『サザエさんのお母さんが、知人の家に来ています。大分、年老いた、長い鼻髭を生やした、頭もかなり禿げあがっているお爺さんと、小奇麗な身なりのお婆さんが、サザエさんのお母さんと話をしています。この老夫婦は、息子さんの最近の行動について、サザエさんのお母さんに相談しているようです。お婆さんが、「この頃うちのこのあつかいにくいったら・・・」と言うと、お爺さんが「それにあのことばづかい!!」と言いました』
『と、襖が突然「ガラツ」と開き、数冊の本を縛ったブックバンドを肩にした青年が部屋に入って来ました。お爺さんとお婆さんは、「ああ、おかえり」と声を揃えて、笑顔で言いました。サザエさんのお母さんも、笑顔で迎えています』
『青年は、部屋を横切り、自分の部屋に行く時、肩に担いでいたブックバンドを、「ドサッ」と投げ捨てました。すると、お爺さんは。投げ捨てられたブックバンドを見て、「こうきちゃう」と叫びました』
『そういったお爺さんは、気まり悪そうに、頭をかきながら、お婆さんに、「うつっちまった!」と気まり悪そうに言うと、お婆さんも、頭を引掻きながら、恥ずかしそうです。サザエさんのお母さんは、二人を見て可笑しそうに、笑っています』
落ちが、判りません。
お爺さんとお婆さんは、サザエさんのお母さんに、我が子が、最近、扱いにくいと相談を持ちかけています。
息子は、多分、事あるごとに反抗するのでしょう。
そうなると、息子の、為すこと、言うことの全てが、気に食いません。
そんな息子でも、帰ってきたら、優しく「おかえりなさい」、と言ってあげているのに
ブックバンドに縛った、教科書を「ドサッ」と投げ捨てるのです。
お爺さんは、そんな息子を
「おいこら何をする!」
と叱り付けるのではなく、
「こうきちゃう!!」
と言っているのです。
そして、その後、
「うつっちまった!」
と言っているのです。
「こうきちゃう!!」
が
「うつっちまった!」
が判らないのです。
だから、この落ちの面白さがどこにあるのか、理解できません。
仕方ないので、調べてみました。
ところが、
「こうきちゃう」に関わるブログがありました。
その一端を紹介させていただきます。
それはこういうものでした
『「サザエさん」という作品は、ホントに古きよき昭和を内包する作品なんだナー、と実感した。
ただその「昭和」ゆえに、読んでいるとピンとこないネタがままある。
たとえば、フネさんが訪れたお宅のご夫婦お二人は、自分たちの息子の若者言葉を苦々しく思っていたのに、いつの間にかソレが伝染っちゃってたよアハハ!という内容なのです。
その若者言葉が、「こうきちゃう!!」で、当時は若者言葉だったようなのです。
今では普通に使うこの言葉、当時はかなりのスラングだったのでしょうネ。
今の感覚で言えば、「やな感じー」みたいな感じ?』
このブログから、
こんなことでしょうか?
老夫婦の息子が帰宅して居間に入ったら、他所のオバサン(サザエさんのお母さん)が来ている。
息子さんは、サザエさんのお母さんを無視して、ブックバンドをドサッと投げ捨てた。
そんな息子の態度が、いやな感じだと思ったお爺さんは、息子が何時も乱発しているのを聞かされて覚えてしまった、はやり言葉の「こうきちゃう」を思わず言ってしまつた。