サザエさん―判らない落ち(15)
サザエさんが、折角、美容院に行っても、ちょっとしか綺麗にならないので、マスオさんは気付いてくれませんでした。
が、サザエさんが、いろんな世間話を始める、と気付きました。
そうだ!サザエは、美容院に行ったんだ。
綺麗になったねと褒めなくてはいけない。
朝日文庫版39巻〔116頁〕・昭和44年
『サザエさんが、美容院のドアーを開いて出てきました。美容院でヘアを綺麗にして貰い、会社から家に帰ってきたマスオさんが、「お美容院に行ったネ」と綺麗になったのを褒めてくれるのを、頭の中で期待しながら、嬉しそうに帰っていきます』
『居間のテーブルに、マスオさんとサザエさんが、向かい合って座っています。サザエさんは、ちらちらとマスオさんを見ながら、リンゴの皮をむいています。マスオさんは、素知らぬ顔をしてタバコを喫っています。サザエさんは、綺麗にして貰ったヘアを気にしていますが、マスオさんは、全く見ていないようです』
『沈黙に耐えられず、サザエさんは、お喋りを始めました。「新エビゾウのしゅめい三億かけたってネ」何にも反応がなく。次は、「大みそかの紅白のしかい 伊東ゆかりらしわヨ」とお喋りを続けました。マスオさんは、皮をむいて貰ったリンゴをホークに挿し、口に運んでいます』
『マスオさんは、突然、サザエさんのヘアを指さすと「オ、美容院に行ったネ」と叫びました。サザエさんは、キョトンとしています』
サザエさんが、美容院に行ってヘアを綺麗にしてもらいました。
ヘアの形は何時もの通りです、前頭部の3つのカタマリと、後頭部のスソの3っの束は、変わりません。
どこをどう綺麗にしたのでしょう。
マスオさんも気づかないのではないだろうかと、心配になるほどヘアです。
案の定、マスオさんは、サザエさんの間近に面と向かって座っていても、サザエさんのヘアの変化に気づかないようです。
マスオさんは、サザエさんを無視してタバコを喫っています。
サザエさんは、沈黙の雰囲気に堪らず、仕方なく、世間話を始めました。
「新エビゾウのしゅめい三億かけたってネ」
「大みそかの紅白のしかい 伊東ゆかりらしわヨ」
と突然、マスオさんが、
「お、美容院に行ったね」
と気付くのですから、
何故かな?
新エビゾウのしゅめい
大みそかの紅白のしかい 伊東ゆかり
と
サザエさんが、ヘアを綺麗にして貰うのとどの様な関係があるのか?
判りません。
ところが、マスオさんは、喋りつづけるサザエさんの世間話で、やっと、サザエさんが美容院に行ったことに気付いたのです。
サザエさんは、待ち時間と髪を手入れをして貰っている間、週刊誌を熟読し、世間話の話題を仕込んでいたのです。
マスオさんは、沢山の世間話は、週刊誌の中にある、週刊誌のあるところは美容院、美容院はヘアを綺麗にするところ、余り見栄えはしないが、サザエのヘアは、何時もより、ちょっとだけきれいなヘアをしている。
そうだ!サザエは美容院に行ったんだ。
マスオさん正解ですよ!