サザエさん―面白い落ち(84)
ジューサーで挽いたジュースの中にクギが、何故クギが?
朝日文庫版37巻〔73頁〕・昭和43年
『エアコンがある応接間です。サザエさんのお父さんが、います。その家の、ノースリーブのワンピースを着て、腕が丸太のように太い、ふくよかな奥様が、コップ一杯のジュースを、お盆に乗せて持ってきました。コップをテーブルの上に乗せると、お盆を手にして、お父さんが、ジュースを飲み終わるのを待っています。お父さんは、コップを取り、[グーッ]と一気飲みしました』
『お父さんは、飲み終えて、コップをテーブルの上に置くと、目を丸くして、「ビンズメでなく、フレッシュジュースですな」と評価しています。奥さまは、「ええジューサーでひきましたの」とニッコリと笑顔で答えています』
『奥様は、お父さんが飲み終わり、テーブルの上に置いたコップを、取り上げ、お盆の上に乗せると、「おわかりになりました?」と尋ねてきました。その問いにお父さんは神妙な、困ったような顔をしています』
『○○○○』
何が起こったのでしょう?
お父さんは、お出されたジュースが、
「ジューサーで引いたものだと、おわかりになりました?」
と問われて、神妙な困った顔です。
お父さんの神妙な困った顔は、面白い顔です。
この顔から、かなり父さんは、かなり困った様子です。
何と答えたのでしょう?
お父さんは、グーッと飲んで、
「ビンズメでなく、フレッシュジュースですな」
とは見事な褒め言葉です。
戴いたジュースは、多分、
「溶液のジュースではなく、果物か野菜の微粒子が懸濁したジュース」
で美味しかったに違いありません。
こんなジュースくらい、何時も、家でジューサーを引いて作って貰い、飲んでいるから、問われなくても判ります。
でも、戴いたジュースは、ジューサーで引いたんですねと、素直に言えないんです。
何故かというと、
『○○○○』で、
『サザエさんのお父さんは、神妙な困った顔の口を大きく開き、「ハァネジがはいってましたんで」と申し分けなさそうな顔して言いながら、拡げた手の平の上にネジを吐きだしました』
奥さんが飲ましてくれたジュースの中にネジが混入していたのです。
ジュースの中にネジがある。
ネジを使った器具でジュースを作る、その器具はジューサーでしょう。
だから、正直に申し上げて、ネジ入りのジュースは、ジューサーでお作りになったことになる。
だから、このジュースは、ジューサーで引かれたものだとは直ぐわかりました。
しかし、ネジが外れるようなジューサーは、何処でお求めになりました。
もともと粗悪品をお買い求めになった上に、日頃の手入れが悪いのでしょうか?
引かれたジュースの中にクギが入っているなんて、相当に珍しいことです。
だから素直に、
「ジューサーで御引きになったジュースは大変美味しいですね」
と、褒めることが出来ないんです。