サザエさん―面白い落ち(82)
カツオ君は、婦人用カツラを被りました、意外にもお嬢さんと間違われました。
朝日文庫版36巻〔19頁〕・昭和42年
『カツオ君が鏡台の前にいます。鏡を覗き込んでいる手には、ご婦人用のショートカットのカツラを持っています。カツオ君は、カツラを頭に乗せようと鏡を覗き込んでいたら、玄関の方から「ごめんくださいまし」とお客さんの声が聞こえてきました』
『カツオ君は、カツラを頭にかぶせ、シャツとズボンを脱ぐと、セータとスカートに着替えました。セータの胸に何かを入れて膨らませています。着替えると、「ハーイただいま」と甲高い声で返事をしました。そこにいたワカメちゃんが、ニッコリとしています』
『玄関先には、化粧品を入れたトランクを持ったセールスマンがいました。彼は、カツラを被ったカツオ君が、カツラと着ている物、胸の膨らみで、完全にご婦人と思ってしまい、カツオ君の手を逃がさないようにしっかりと掴むと、「ちょっと!おじょうさま、ちょっとだけ!」と言っています』
『セールスマンは、カツオ君の首に、前掛けを下げ、顎を掴んで、顔を動かさないように抑え、トランクから取り出した沢山の化粧品の中から口紅を手に取ると、カツオ君の唇に当てて、塗り始めました。カツオ君は驚いています。ワカメちゃんもキョトンと見ています。カツオ君は仕方なく、口紅を大人しく塗って貰っています』
お父さんが、カツラを被って、家族の皆に、総すかんを食らったと思ったら、カツオくんまでカツラを被っています。
カツオ君は、丸坊主でハゲではありませんから、ハゲ隠しのカツラではありません。
カツオ君は、女性になって見たかっただけのイタズラで、かなり、女性になりたかったのでしょう。
ご婦人用カツラだけでなく、スカート、セータとその下に胸を膨らませる何かを入れ、ブラジャまで用意していたのですから、女に変装しようとする思いは大変なもので、少年のくせ、なんだか異常です。
そんなカツラを被ったカツオ君は、セールスマンの目には、女性に見えたのでしょうか?
「ちょっと!おじょうさま、ちょっとだけ!」
と言っています。
そんなお嬢さんに化粧品を買ってもらおうと、唇に口紅を塗ってやっているのです。
カツラを被ったカツオ君は、完全に女の子に見えたのですから、カツオ君は満足しているでしょう。
お父さんのカツラは、似合わないと家族全員に拒絶されましたが、カツオ君の婦人用カツラは、お嬢さんに間違われるほど似合っていました。
カツオ君は、癖になるかもしれませんね!