サザエさん―面白い落ち(51)

 

尺貫法が廃止され『メートル法』が施行されると余計な頭を使います。

 

朝日文庫版21巻〔3頁〕・昭和33年

『駄菓子屋さんの店先にサザエさんがいます。駄菓子が入れてある陳列ボックスの一つを指さして、「50ちょうだい」と注文しました。お店の中年のオジサンは、指さされたボックスの蓋を開け、左手に紙袋を持ち、右手の果子とりスコップでお菓子をすくい、「するてえと百九〇グラムね・・・」と言いながら、紙袋に入れています』

 

『オジサンは、お菓子の入った紙袋を左手に持ち、左手で壁に描かれた紙きれを指さしながら、「百め、三百七十五グラムだから・・・・・・と」と言いながら難しそうな顔をして換算しています。するとそこへ着物を着てエプロンをしている、よその奥さんが、サザエさんが買ったお菓子と、同じお菓子を「あたし八十め」と注文しました』

 

『2人が帰ったあと、オジサンは悲しそうな顔をして「こんげつからメートル法できぼねがおれるよ」と愚痴をこぼしながら。部屋の中に入って来ました』

 

『○○○○』

 

さてオジサンは、部屋に入ってどうしたのでしょうか。

昭和33~34年頃、尺貫法が禁止され、メートル法が施行されて、メートル法で売買しなければならず、換算の気苦労で疲れたので、部屋に行き休憩したのでしょうか?

それとも、直ぐに換算出来る、より判りやすい換算表でも作っているのでしょうか?

 

お客は、尺貫法が禁止されても、お客は、相変わらず、百匁(もんめ)頂戴とか、五十匁(もんめ)頂戴とか行って注文する。

俺の店は、

「尺貫法では駄目と言われているから、直ぐに[○○グラムで幾ら]と値段をつけているのに、お客さんは相変わらず、匁(もんめ)で注文してくる」。

サザエさんには、

「そちらの奥さんは、えーと、この駄菓子は、百グラムが五十円と書いた紙きれを壁に張っているから、換算すると、五十匁は、百匁が三百七十五グラムだから、百八十七.五グラムとなる。九十三.七五円だ、お負けして九十三円だ」

そして、お後の奥さんは、

「百匁だから、187.5円だ、これも勉強して、百八十七円だ」

と換算して、お金を戴けねばならない。

 

面倒くさいな、尺貫の禁止は、

「お客さん、早くグラムで注文してくださいよ」

と文句を言っていませんでした。

実は、オジサンの奥さんは、大変良くできた人でした。

オジサンの換算ノイローゼを癒してやりました。

『○○○○』はつぎの通りでした。

『オジサンが部屋に入って、卓袱台の前で休憩していると、おかみさんがお盆に、トックリとお猪口と酒の肴をお盆に乗せて、「だからさ二デシリットルほどつけといたよ」と言いながら、優しい顔をして運んできました。オジサンなキョトンとし、嬉しそうです』

よく気がきく奥さんでした。

トックリは、一合入りですから、確かに2デシリットルほどのお酒が入っているようです。

奥さんは、間違いなくメートル法の換算が出来ています。

オジサンは、これでいいのです。これで幸せなのです。

美味しいお酒を飲み、一時、メートル法換算の悩みは消えているでしょう。

オジサン!持つべきものは、気がきく優しい奥さんですね!