サザエさん―面白い落ち(42)

 

貰った物を他に回すのは、恥ずかし行為です。

 

朝日文庫版35巻〔34頁〕・昭和42年

『サザエさんは、今日、ノースリーブのワンピースを着て、デパートに来ています。お中元売り場で、陳列台に並べられた箱入りのワインを見ていました。すると、そこへ、和服を着た太ったご婦人がやって来て、「サザエさんではありませんか」と笑顔で話しかけてきました。サザエさんは、「イーエ」と逃げるように否定しています』

 

『太ったご婦人は、にこやかに、「イーエだなんて、サザエさんでしょ」と念を押して来ました。それに対してサザエさんは、少し頬を赤らめ「ひとちがいです」と知らぬふりを通しています』

 

『そうしたら、太ったご婦人は、更に「ヤーネどうなすったのよォ」とサザエさんの肩をたたきながら、念を押して来ました。するとその時、デパートの店員さんが缶詰セットの箱を抱えて、サザエさんの所に来ると、箱を見せながら、「このカンズメセットセットを返品して、ほかの品とお取り換えするんですか?」と聞いてきました、サザエさんは、頬を真っ赤に染めました』

 

『店員さんが、言うやいなや、サザエさんは、飛ぶようにその場から立ち去りました。太った奥様は、店員さんが持っている缶詰セットの箱を見て気がつき、「うちから行ったんだわ」と言っています』

 

貰った、お歳暮やお中元の品物を他の家に回す。

サザエさん家では、これを度々、やっていたようです。

そんな頂きものが沢山の家では、処分に困り、他に回すことはあるでしょう。

しかし、サザエさん家のような、大家族では、食べるものなら、直ぐに戴き無くなってしまうでしょう。

 

サザエさん家では、貰うだけではなく、差し上げる義理のある家もあったのでしょうか?

だから、返品して、ほかの物に変えることは、サザエさんのような知恵のある主婦は、良くやっていたのかもしれません。

 

しかし、その返品している現場を、送り主の前でやっては、大変に失礼な行為です。

サザエさんもそんな失礼な行為をしていなかったならば、

「アラ!奥様」

と言うはずの太った奥様にも

「人違いです」

と知らを切るしかなかったようです。

 

サザエさんが、太った奥様に、親しげに呼びかけられて、何故

「サザエではない」としらを切っているのかと思ったら、貰った贈り物を、デパートに持ってきて、返品しているところでした。

こんなことは本当に出来るのでしょうか?

ヤッタことはないのでわかりません!