サザエさん-車(5)
雷なぞ平気な運転手さん達は、沢山います
朝日文庫版25巻〔28頁〕・昭和37年
『マスオさんとカツオ君とワカメちゃんが、揃ってお出かけをしたところ、帰りに雨が降り出しました。マスオさんは、頭をハンカチで覆い、帽子を被っているカツオ君とワカメちゃんと、タクシ-を探しました。見つけたタクシーを止めると、運転手さんは、後部ドアーを開けてくれました。マスオさんは、濡れながら、カツオ君とワカメちゃん、つづいてマスオさんも乗りこみました。温厚そうなタクシー運転手さんは、3人を、気の毒に思いじっと見ています』
『乗り込んで、暫く走っていると、雨は、酷くなり、「ピカッ」~「ゴロゴロ」と雷が、ますます、酷くなり始めました』
『後部座席にマスオさんを真ん中にして、カツオ君とワカメちゃんが座っていましたが、「ピカッ」と稲妻がひかると、カツオ君達二人は「こわいよ~」と悲鳴を上げ、両方から、マスオさんに縋りついてきました。マスオさんも、恐怖の表情になり、「バカだね!うんてんしゅさんにわらわれるぞ」と言っています。運転手さんは、歯を食いしばっているような顔をして、ハンドルを確りと握っています』
『○○○○』
このような、雷が、光り、とどろく中、『○○○○』では、どうなったでしょう?
タクシーの運転手さんですから、運転中、稲光が鳴り響く豪雨の中を走ることは、多々あると思います。
だから、
「だいじょうぶだよ、お父さんも、坊や達も、運転上手なオジサンが、この難局を無事家まで届けてやるから、怖がらずに乗っていな!」
と自信たっぷりに言うと思います。
こう言ってくれると、カツオ君もワカメちゃんも少しは安堵するでしょう。
しかし、全く、状況は違っていました。
『○○○○』は、こうなっていました。
『転手さんが、運転席から後部座席の方に身を乗りだし、カツオ君とワカメxちゃんがすがりついているマスオさんの首に腕を廻してすがりつき、そして、恐怖に怯えた顔をしてこう言うのです「あつしもカミナリがだめなんです」。マスオさんは、ますます、頼りない運転手さんに、恐怖を覚え、おびえています』
タクシー運転手さんは、前にも言ったように、「雷さん」には不感症な人だと思っていました。だから、運転中、ピカリ~どんピシャと雷が鳴っても、反応しないタフな人だと思っていました。
そうではなかったのです。
ピカリ、ドンピシャと雷様がなりは秘めると、恐ろしくてジットしておれない運転手さんがいたのです。
恐ろしくて運転しておれない、頼りなさそうなマスオさんでも頼りにせざるをえない。
ピカリ、ドンピシャで、もうこれ以上耐えられない。
お客さん助けてと、頼りなさそうであるマスオさんであっても、マスオさんの首に縋りついて、恐怖から解放されようとしているのです。
こんな頼りないタクシーいるのでしょうか?
しかし、こんなどうしょうもなく頼りにならない運転手さんがいたのでしょう。
しかし、最近、乗せて貰うタクシーの運転手さん達に、こんな頼りにならない人は、断じてありません。
雷が鳴っても、激しい雨の中でも、チャンと家までと届けてくれます。
有難うございます、タクシーの運転手さんたち!