サザエさん―押し売り(1)
この押し売りオジサンは、意外なものを売っていました。
朝日文庫版20巻〔122頁〕・昭和33年
『押し売りのオジサンが、縁側に腰かけ、傍に拡げた風呂敷の上に、いろんな売り物が入った箱を置いています。押し売りのオジサンは、売り物をサザエさんに勧めた後、サザエさんの顔を見つめています。サザエさんは、「うちじゃみんなまにあっています」と断っています』
『すると、オジサンは、大学ノートを取り出し、パラパラパラとめくっています。サザエさんは、見ています』
『オジサンはノートを少し開いて、「7月20日からずっと毎日の天気がかいてるんですがね、うつしませんか」と言いました。サザエさんは身を乗り出して、ノートを覗き込んでいます』
『カツオ君とワカメちゃんが、ノートを拡げ、オジサンのノートを書き移しています。オジサンは、タバコをのみながら、「一日2円づつでいいです」とすましたものです。サザエさんはお盆にお茶を乗せて運んできました』
昭和33年頃、夏休みの天気を毎日書いていなかった子供達には、便利な買い物だったのでしょう。
インタネットのような便利なものがない時代、毎日書いていなかった子供達は、チャンと書いている友達に聞いていたと思います。
友達も書いていなかったら、先生に叱られる。
だから、良く売れるでしょう、
この押し売りのオジサンは、悧巧な人だ。
一日2円だから、一人100円位になるのかな。
当時バスの運賃が、最小20円くらいだった筈だから、この商売は悪くはない。
買う人の印象も、強面の押し売りオジサンに比べ、グーでしょう。