サザエさん―お父さんのお酒(9)

 

味オンチではないオジサンの屋台。美味しい焼き鳥を食べさせてくれるのでしょう。

 

朝日文庫版41巻〔81頁〕・昭和45年

『大きな木の下に出ている屋台で、サザエさんのお父さんが、お酒を飲んでいます。そこへ、立派な車用車が通りかかりました。その車の中から、貫禄のある顔をした人が、屋台のオジサンに向かって「ヤア!」と声をかけました。屋台のオジサンは、それに気づき「ヨッ!」とかえしました。そのヤリトリを、お父さんも見ていました』

 

『車用車は、通り過ぎて行きました。サザエさんのお父さんは、焼き鳥を食べながら、驚いたような顔をして「へーあれ弟さん!!テレビ局の重役・・・・・・」。屋台のおじさんは、肴を作りながら頷いています』

 

『サザエさんのお父さんが、「同じ、きょうだいでもネ・・・」と感心して言うと、オジサンは「そうなんス」と平然と答えました』

 

『オジサンは、ニコニコ笑いながら「あいつ せいらい味オンチでできっこないんすと言ってます。お父さんは、なるほどと言わんばかりの表情で、オジサンを見ています』

 

屋台のオジサンは、なかなか立派ですね。

弟は、テレビ局の重役まで出世しているのに、少しも卑屈に成らず、屋台のお店を誇りにしているようです。

このオジサンは、生まれつき舌が肥え過ぎていたので、屋台をやることになったのでしょう。

 

人の生まれつきの才能とは怖いものですね!

屋台のオジサンは、弟と同様に重役になれるような潜在能力を持ちながら、一芸に秀でていたため止むを得ずその能力を生かすため屋台を引くことにしたのでしょう。

だから、弟が重役になって少しも気にしないのです。

 

立派な弟さんを持った屋台のオジサンと重役の弟さんのために、そのように解釈しましょう。