サザエさん―面白い落ち(16)
2人のオッサンが出てきます。
もう50歳を越しているんでしょうか、2人とも、最近は物忘れがひどいそうです。
どれほどなんでしょう。
朝日文庫版42巻・昭和46年
『2人のオッサンの登場です。一人は、お鮨屋のオッサンで、太っています。あと一人は、レストランのオッサンで、細いオッサンです。今日は、お鮨屋のオッサンは、自転車に乗って長い手(柄)のついた岡持ち(出前桶)を左手に持ち、右手で自転車のハンドルを握って、片手運転で街中を走っています。すると向うの方から、コック帽を被ったレストランのオッサンも出前らしく、自転車に乗り、左手でハンドルを握り、右手に出前箱を持って、片手運転で走ってきました。2人は、すれ違う寸前に、お互いに気づくと「ヨオ!]と声を掛け合っています』
『2人は、互いに近づくと、2人とも短い足を、自転車が倒れないように伸ばして地面に着け.自転車を止め、話し始めました。お鮨屋のオッサンが、「このごろものわすれがひでエンだ」と、こぼすと、レストランのオッサンも「おたがいさ」と答えています』
『話し終わると、レストランのオッサンさんが、「じゃ」と言って立ち去りました。お鮨屋のオッサンも「またナ」と言って、岡持ちの柄の中に左腕を通して肩に担ぎ、両手でハンドルを握り、自転車を運転しようとしました』
『○○○○○』
『○○○○○』では、それからどうしたんでしょう。
自転車運転ですから、車に、はねられるようなことがなければ、無事に店に着き、出前は成功します。
でも、物忘れのオッサンですから、無事に帰れることはないですよね。
何かが起こっています。
お鮨屋のオッサンは「このごろものわすれがひでエンだ」と言っていました。
だから、こんなことではないでしょうか?
『お鮨屋のオッサンは、桶を肩に担いで颯爽と自転車を運転し、店に戻りました。「帰ったぞ」と大きな声で叫んでいます。お店のおかみさんが、「おかんじょうは、こちらにちょうだい!」と手のひらを差し出しています。オッサンは、「アッ貰うのを忘れて帰って来た、やっぱり、ものおぼえがわるくなっている。こりゃいかんぞ」とガックリしています』
しかし、これでは、面白くもありません。
お鮨屋のオッサンは、やったばかりのことを、直ぐ忘れてしまうような、物覚えがわるくなっていますから、大変なことをやってしまったに違いありません。
実は、こんなことをやったそうです。お勘定を貰い忘れる以上に、困った物忘れでした。
『お鮨屋のオッサンは、出前桶を柄に手を通して、肩に担ぐと、桶の蓋がはずれ、中からいろいろな、沢山の握り寿司が、バラバラと道の上に落ち散らばってしましました。お鮨屋のオッサンは自転車にまたがったまま、「ア!!!」と悲鳴を上げ、「へえってたんだ」と悲しげな顔をし、驚いています』
お鮨屋のオッサンは、まだ、出前が完了しておらず、これから配達しなければならい握り寿司が桶の中にあったのです。
それをすっかり忘れてしまい、出前桶を思わず肩に担いでしまったものだから、桶の中の握り寿司を道路にばら撒いてしまいました。
オッサンは、物覚えが相当酷くなっています。
出前は、お店の若い衆に任せた方が、良さそうです。
若い衆の方がお勘定も忘れずに貰って来ますからおかみさんも安心です。