サザエさん―受験・入試(16)
二浪の受験生、今度こそ、三浪にならないように頑張れ!、お前が合格しなければ死活問題と訴えるお父さんへの親孝行だ!
朝日文庫版45巻・昭和48年
『部屋の壁には[三浪ガンバレ]と書かれた貼り紙が貼ってあります。机に向かって受験生が懸命に勉強しています。そこへ、悲痛な表情のお父さんが入ってくると、「今年こそうかってくれ」と頼んでいます。勉強していた受験生は、振りかって、煩そうな表情でお父さんを見ています』
『お父さんは椅子に座っている受験生に縋りつくと、眉毛も八の字になるくらい落ち込んだ顔をして「たのむ!!」と懇願しています。頼まれた受験生も困った顔です』
『今度は、お父さんは受験生の前に土下座して、「お父さんの死活問題だ!!」と涙を流して懇願して続けています。受験生は全く困った表情で腕組みをしています。彼の机の傍には、空ドンブリが、箸が乗ったまま置いてあり、机の上には部厚い参考書とノートなどが乗っており、彼の奮闘ぶりを物語っています』
『神主の衣装を着たお父さんが、額の上に右手をかざし、神社の欄干の上から神社の鳥居の下を通って、受験祈願に来る受験生の数をチェックしています。お父さんの背後にも[入試祈願]と書いた貼り紙が貼ってあります。鳥居の下を疎らに参拝客が通っています』
あの神社にお参りすると、合格すると期待されている神社の神主さんにとって、我が子が、既に2度も失敗し、3度目の今回も失敗したら、その噂が広まれば、この神社に、受験生はお参りに来なくなる。
となれば、この神社の収入も減り、お父さんにとって死活問題だぞ。
二度も失敗し、お前はのんびりしすぎているんじゃないか?
今度は3回目の受験だ。
今度こそ、合格して呉れ。
頼む頼むと、神主さんが我が子に土下座してまで頼んでいます。
確かにそうですね、あの神社の神主さんの息子さんが、三度めの今年も受験に失敗した事実が知れ渡ったら、この神社に受験祈願に来る受験生はいなくなってしまう。
それは、本当に死活問題だ、よく理解して、今年は去年以上に頑張ってくれ、頼むと、神主さんは、我が子に懇願しています。
受験生は、神主さんに土下座までして頼まれれば、今年は見事合格し、三浪にはならなかったと思います。
そうなれば、神主のお父さんは、当神社は、必ず三浪を出しません。
二浪の受験生の皆さん、当神社に祈願すれば必ず合格致しまうとPRすれば、合格祈願に来てくれる受験生は増えるでしょう。
と思います。