サザエさん―受験・入試(12)
不正入学したお父さん、息子をあなたと同じように不正入学させますか?
朝日文庫版42巻・昭和46年
『ある家の居間です。テーブルを囲んで、50に間近と思えるお父さんと、そのお父さんのお母さんと、大学受験の高校生の息子、彼より3歳くらい年下と思える女子高生の娘さんが座っています。お父さんは、眉をきりりと上げ、怒った顔をして新聞を読んでいます。新聞には[医学部不正入試]についての記事が記載されているようです。お父さんはその記事を読みながら「なんたるハレンチ」「呆れたもんだ」と愚痴を言っています』
『息子と娘さんは、食事が終わってテーブルには、お父さんとそのお母さんだけが座っています。お父さんは、ハレンチな記事を読んで、気分が収まらないのか、まだ顔をゆがめたままの怒った顔で新聞を読んでいます。すると、お父さんのお母さんが、フンと鼻をならした後、「おまえもカネではいったくせに」と言い出しました』
『お父さんのお母さんは、椅子から立ち上がり、左手の手のひらを拡げて、お父さんの方に差し出しました。そして、怒った顔をして、「コヅカイくれなきゃマゴにバラすよ」と脅しています。お父さんは、お母さんの顔を睨みつけながら、「マタ?」と苦虫をかみしめています』
『お父さんは、病院の院長先生でした。白衣を羽織りながら、診察室に入るところです。太った看護婦さんが、うやうやしく頭をたれています。待合室のソファーにはサザエさんのお父さんが座って待っています。院長先生は「どこまでカネをとられるか」と困った顔をしています』
裏口入学ですね。
受験生の入学を、多額の金を支払って買うのでしょう。
お父さんは、子供達の前では、
「こんな不正入試はけしからん」
と言っていますが、お婆さんは、孫には言えない、息子の秘密を握っています。
多分、
「偉そうなことを、言うんじゃない、お前は不正入学の見本みたいなものだよ」
孫達にはバラスことができない秘密で、これをバラされたらお父さんの威厳は、多分消えるでしょう。
だから不正入学しても医学部を出て偉い院長先生にまでになったお父さんは、お母さん〔おばあちゃん〕に
「お小遣いをあげるから、絶対言わないで」
と裏金を渡し続けるのです。
恐らく元気なお母さん〔おばあちゃん〕には、当分お小遣いには困らないでしょう。
しかし、裏金を出して、孫を医学部に入学させれば、息子のように医者にすることができるのです。
孫も、また、不正入学しても、院長先生になるでしょう。
だったら、おばあちゃん、裏金を出して、お孫さんを、医学部に不正入学させればいいじゃありませんか!
あなたの息子さんが嫌がることをせずに、息子さんに、裏金を出させて、孫を医学部に不正入学させれば、孫の代まで病院を続けられますよ。
院長先生をユスルのは止めましょう。
おばあちゃん、お孫さんは、不正入学しなくても、立派に医学部に入学できますよ。
だから、息子さんから小遣いを強請るのは止めましょう!