サザエさんにみる昭和(30)

 

今年も後20日になってしまいました。

先日、数の子が品不足で、高値になり、貴重品扱いされた頃があった時の「サザエさん」を取りあげました。

 

この頃、お正月には欠かせない食品として、なんとかして手に入れたいものであったようです。

笑うしかないこんな作品がありました。

 

朝日文庫版サザエさん(37)・昭和43年

『サザエさんが、デパートに買い物に来ています。デパートでは、売れ行きが芳しくないのか、狐の襟巻をワゴンに乗せ、ワゴンには[特別セール]と書いた横断幕をつけて、実直そうな店員がつきっきりで売っています。そこにサザエさんがいます。サザエさんは、一匹の狐をコートの上から首に巻き付けています』

 

『サザエさんは、狐の毛皮を両手の上に拡げるようにして持ち、「ほかのデパートでも一万八千円でうってたヮ」と店員さんに文句を言っています。店員さんは恐縮して「いやウチのはちがいます」とべんかいしています』

 

『実直そうな店員さんは、真面目な顔をして、手で襟巻を指し示しながら「よくごらんくださいまし」と丁寧です』

 

『実直そうで丁寧な店員さんは、サザエさんが狐の首を持って手にしている狐の口元を指びで指し示し、「カズノコをくわえております」とすまして説明しております。サザエさんは、襟巻の狐の顔をじーっと見て、開いた口もふさがらないほど呆れています』

 

たかが、数の子と思うんですが、高価な狐の襟巻が、数の子を咥えている、ただそれだけで、このデパートの狐の襟巻は、他店の襟巻を越える付加価値が付与されているのです。

 

サザエさんは、呆れていましたが、ほかの店で売っていた狐の襟巻でも一萬八千円でしたから、同じ価格の、このデパートの方が、貴重な数の子を咥えているだけ、お買い得です。

賢いサザエさんは買ったのではないでしょか?

 

買わなかった!

おとなしそうな店員さん!もっとあなたのお店の狐の襟巻の利点を、ジャパネットタカタの社長さんのように、金切声をあげて、しなやかそうな指で、ワゴンの上の狐の襟巻を、さし示しながら、「当店の狐の襟巻は、品不足で高価な数の子を咥えているんですよ~、今、この狐が加えているような数の子は、1000円を遥かに越えております。ですから当店の狐の襟巻は、一万七千円を切るくらいのお値段です。よそ様の狐の襟巻に比べ、1000円以上の割引です。その上、手に入りにくい数の子を、狐がちゃんと咥えているのですから、お客さん~当店でお買いになればお得です」と上手く売ったらどうですか、必ず売れますよ。

もし、サザエさんがそれでも買わないと言うのなら、手数料なしの分割払いにしてあげたらどうでしょう。

 

お正月に、数の子を食べることが出来、その上、温かい狐の襟巻をしてお年賀に出かけられますよと言ってあげましょう

 

サザエさんは、「そうね買うわ」と言うかもしれません。