サザエさんにみる昭和(26)
大の男が二人いても「どうしても判らないことがある」。
俺たちが判らないのに、あのお婆さんが「わかる」?というのが、どうしてもわからない。
イギリスのロックバンド[ビートルズ]は、1957年に結成されたとされています。
昭和40年代には、日本国内で彼らの演奏が盛んに流れていたと思います。
音楽は、特に好きでもなく、聞き流していました。
楽器をかき鳴らして、歌うグループがあるとその存在を認識している程度で、関心も殆どなく、演奏を視ることも、聞くことも殆どありませんでした。
確かに[ロック]の物珍しさはあっても、そのサウンドとは何か、歌詞が何を言おうとしているのか、「英語では判りません」
好きな人は、歌詞を翻訳して理解しようとするでしょう。
バンド演奏であれば、リズム・メロディ・ハーモニーの他に楽器の音色や人の声色という要素があるでしょう。
彼等が抱えている楽器が何であるかも判りません。
同じように、[ビートルズ]が判らない大人は沢山いたのでしょう。
大の大人が判らないと言うのに、それらの大の大人を越える意外な人が判ると言えば、何がわかるのか不思議でしょう。
ビートルズが判らない人にとって、自分たちよりお年寄りの人が判ると言えば、そんな人の存在が何故か判らない、その上、そんなお年寄りに、ビートルズの何が判っているのか、そこが、また判りません。
ポール・マッカートーニが、今年の夏11年ぶりに来日していました。
テレビで視ましたが、カッコいい老ミュージシャンでした。
朝日文庫版サザエさん(32)昭和41年
『角刈りのオジサンが、浴衣を着て一人部屋に座り込み、腕組みをし、「判らね・・・・」と悩んでいます』
『そこへ、顔見知りのオジサンが遊びに来たのでしょう。2人でタバコをのみながら、話しこんでいます。そのうちのオジサンが、「あなたも?」と尋ねています。お客のオジサンも「て―んで」と答え、このオジサンも判らないのです』
『そこへ、その家の洋服の半袖のワンピースを着たお婆さんが加わり、「わたしゃわかる」と言いきっています。2人のオジサンはエーエーツと意外な表情でお婆さんを凝視しています』
『お婆さんは、腰に両手を乗せて、そとに出て行きました。2人のオジサンたちは、ひとりが、「あの年でビートルズよさがわかうたア」と言うと、他のオジサンが「とにかく、お若い、うらやましい」と感心しています』
この頃、衝撃的に現れたビートルズ、そのロックの音楽、魅せられたフアンも沢山いたでしょう。
しかし、音楽に興味のない一般の普通の大人には、ロックバンドの魅力が判らなかったでしょう。
判らなくても、聞けばいいのですが、このオジサンたちは、わからね~と悩んでいるばかりのようです。
しかし、普通、まだ浴衣を着ている時代、おしゃれにも、半袖のワンピースを着た、お婆さんは、ビートルズがわかると言うのですから。
大の大人である2人のオジサンは、このお婆さんがビートルズの何処がわかると言うのでしょう、そこがわかりません。
まだ、着物の多い時代、半袖のワンピースを颯爽と着ているオバアチャンは、多分、気分も若いのでしょう。
新しいものに直ぐに興味を持ち、判る、いや、判ったつもりでいる、あるいは判ったふりをする、オシャレなお婆さんも出てきた時代ですから。
世の中は進歩すると、新しいものが次々と現れる。
音楽の世界も例外ではないでしょう。
年老いても、これらについていかねばなりません。
2人のオジサンのように「判らね~~」と言ってしまつたのでは駄目です。
お婆さんのように、積極的に判るようにしましょう。
と『サザエさん』は教えてくれているようです。