タヌキ(4-6)

お爺さんが

「さ、街に出かけるぞ!採り入れた大根を売りに行こう。牛車を出して引いてくれ」

と息子に言っています。

それを聞いていた、お種は、

「私も、街までお供してよろしいでしょうか?お手伝いして街まで行きとうございます」

と言い出した。

息子の良兵衛は、お種の申し出をお爺さん以上に、大変喜び

「そうだ、一緒に行こう。ついておいで、俺がつれて行ってあげる」

と有頂天に成っている。

「直ぐに出かけるか?おとう」

急かせるように聞いている。

「そうだな。日が暮れないうちに帰らねばならん。準備ができ出来次第出駆けるぞ。納屋にある大根の束を荷車に積んでくれ」

とお爺さんが息子に命じている。

お種は、

「私もお手伝いします」

と、飛び出した良兵衛の後に追った。

良兵衛は、牛を荷車に取りつけて、納屋の入口に引いて行き、お種と一緒に、縄で縛った大根の束を摘んで行く。

「おとう、準備出来たぞ」

「そうか、出かけるとするか、お婆さん、行って来るぞ」

と“みの”を重ね着すると外に出てきた。

雪が薄く積った道を、3人は牛車を引いて街に出かける。

随分冷えて来ている。

街までは遠い、お爺さんは少し疲れてきた。

「おとう、くたびれたか」

「未だ未だ、疲れてね~、お種はどうだ」

と気遣っている。

良兵衛も、気がついたのか

「お種さん、車の端っこに腰かけたらどうだ」

と勧めている。

「未だ未だ、大丈夫、歩いた方が、体が温まる」

と乗ろうとしない。

2里ばかり歩いた。街が有り、街道沿いにお店が有る。

お爺さんは、何時も通っている市場に行った。

この寒い地方では、大根は貴重だ。冬の食べ物として漬物として保存できる。

いい値段で売れた。

街道沿いのお店には、魚の干物屋さんが有る。生地屋、着物屋さんが有る。

お種は、生地屋や着物屋に、興味を持った。

キョロキョロ見廻している。

そして、

「お父さん、あのお店に[仕立てが出来る人!求む!]と札が出ている。お店に寄っても良いですか」

「うん好きにしなさい」

お店の前に、空の牛車を止めると、お種はお店に入っていった。

外で、お爺さんと良兵衛を待たせると、お店の中で、番頭らしい人と、何やら話している。

「待たせてごめんなさい、あのお店で、着物の仕立てをお世話してくれるそうです」

(続く)