四駒漫画(376):泥棒(9)

泥棒は、盗みに入った家で、生活環境の変化で余りにも無視されると、それを嘆き、盗む気もなくす、こともある?

 

文庫版28巻、昭和39年

『3~4年生くらいの坊やがテレビの前に横になり、缶に入ったお煎餅をつまんで食べながらテレビを見ています。その部屋のドアが開いて、口の周りに無精ひげをボウボウと生やし、頬被りして、横縞のセータを着た、おそろしげな泥棒が入って来ました。ドアを開いて部屋の中を覗き込んだ泥棒は、部屋の中を見廻して、ドスの利いた声で「オイ坊やだけか」と聞いています。坊やは、振り向きもせず、テレビを見たまま「うん、パパは会社、ママもお努め」と平然と答えています』

 

『泥棒は、部屋の中に入り込んでいます。坊やは、それでも、お煎餅を食べながら、テレビに夢中です。泥棒は腕を組んで立ったまま、坊やが「妹は保育所」と続けて言うのを聞いています』

 

『テレビの中では、若い男女が抱き合い、キスしようとしているところです。坊やは、なにがおかしいのか、「ケケケケケケー」と声を上げて、まだテレビに夢中で、泥棒のことは全く無視しています。泥棒は、その様子に開いた口が閉まらないのか、ポカーンとしています』

 

『小さなポリボックスに、チョビヒゲの制服制帽の警官がいて、その前にサザエさんが買い物籠を下げて立っています。サザエさんは、何故ポリボックスの前にいるのか判りませんが、二人の前を、坊やに無視された泥棒が、「じつになげかわしい!ああいう生活かんきょうでよいのか」と愚痴りながら通り過ぎて行きました。愚痴が二人に聞こえたのか、2人とも不思議そうな顔をしています』

 

サザエさんの四駒漫画でした。

昨年(2012)の暮れの衆議院選挙は、若年層の政治的無関心もあり、民主党の政権は終わり、自民党が圧勝して政権を取り戻しました。

この無関心には困ったものだと、自分たちの愚かさを省みることもなく、批判している、ある民主党議員がいました。

 

昔、テレビが普及し、泥棒が少し横行していた時、泥棒が、盗みに入り込んだ家で、テレビの大人向けの映像に夢中になっている坊やに全く無視されました。

泥棒は、坊やが、その自分の殻の中に閉じ籠ってしまっているのは、社会環境の所為で、嘆かわしいと批判しています。

嘆いている泥棒は、坊や以外誰もいないのに、坊やを脅して盗むことなく、何も取らずにイソイソと引き返しています。

 

もし、ここで坊やが驚いて反応したら、この泥棒は、生活環境の変化に嘆くこともなく、沢山のものを盗んだでしょう。

 

社会問題に関して正義感の強い泥棒に対しては、坊やのように、声を掛けられても無視し、テレビに夢中になって無関心で有れば、被害を免れることもあるのですね!

それにしても、サザエさんは、何故ポリボックスの前にいたのでしょう。