四駒漫画(266):テレビのある光景(26)
お爺さんがテレビ視てる間に、柿泥棒のカツオ君。
文庫版29巻、昭和40年
『軍人のような「ハ」の字の髭を生やした、老いさらばえたようなお爺さんも、毎日テレビの東京オリンピックも楽しんでいたようです。その東京オリンピックも遂に終わりました。お爺さんは、テレビの前で、座布団の上に膝立ちになり、「さあ、オリンピックは終わった」と言いながら、4脚のテレビの上に、布をかけています。もう視なくても良いと言うことでしょう』
『テレビの上に布をかけ終えた、お爺さんは、ハッと思い当たることが有り、スクッと立ちあがりました。眉毛を八の字にし、眼の玉も大きく真丸にし、大事なことを思い出したようです』
『おじいさんは縁側のガラス戸を開けると、下駄をつっかけ、庭に飛び出しました』
『お爺さんが飛び出した庭には、柿の木が有ります。柿の枝は垣根をケ通路の上に飛び出しています。その枝の下にカツオ君が竿だけの先の方をYの字にしたいます。そこへお爺さんが飛んできて、恐い顔をして「よかんてきちゅう!」とカツオ君を睨みつけています』
サザエさんの四駒漫画です。
東京オリンピックの期間中、テレビは視聴者を虜にしました。
虜になると、他のことまで、気が回りません。
特に、耄碌気味のお爺さんは、オリンピックのこと以外は何処かに飛んで行ったでしょう。
オリンピックも終わる秋の頃、もう、柿も実る季節です。
毎年、この柿の実を、カツオと言う悪戯っ子が盗みに来るので、気が気ではない。
何時もなら、庭を見張り、コラーツと追っ払っている。
しかし、今年はオリンピックだ。
しかし、オリンピックは終わった。
テレビを視なければ、他のことを考える暇が出来た。
何をしようかと、考えたら、何時もの年、やっていることを思い出した。
そうだ!柿が危ない。カツオと言う悪さ坊主が来るぞ!
庭に出てみると、ちゃんと来ていた。
何時もの柿取り竿を持っている。
予感は的中した。
コラーーツ!と思いっきり叱りたくなるでしょう。
何となく、お爺さんの気持が判ります。
昔、疎開先の農家の庭には、必ずと言っていいほど柿の木が有りました。
秋には、紅色の柿の実が実っています。
おいしそうに見えても、取ってみたら渋柿、ペッペッと懸命に吐き出します。
それほど渋いのです。
山裾に柿畑が有りました。
背丈の高くない柿の木が、リンゴ畑のように植えてあります。
庭先の柿しか見たことがなかったので、珍しく、枝の柿の実をもぎ取り齧ってみました。
渋くはなく、甘い柿でした。
齧って割ってみると、中に沢山のゴマが入っていました。
うまい柿でした。
幾つかもぎ取り、布に包んで持って帰りました。
あの柿畑は、今はどうなっているかな!と思いだされる小学生の昔です。