四駒漫画(265):テレビのある光景(25)

カツオ君の思い違いも、テレビのせい!

 

文庫版29巻、昭和40年

『東京オリンピックも、とうとう終わりました。テレビでは、選手村から帰って行く外国人選手の様子を中継しています。選手達が手を振っています。テレビからは「ぼつぼつ選手村を引きあげて行きます」とアナウンサーが中継しています。そのテレビをカツオ君の友達の女の子が一人で視ています』

 

『そのお別れの中継を視ていた女の子は「つまんない」と言いながら、流れ出る涙をスカートの裾で拭いています。そこへ、女の子のお母さんが、「メグミお帰りですよ」と大きな声で知らせています』

 

『玄関口にサザエさんとカツオ君がいます。送り出しているお婆さんと孫娘のメグミさんがいます。サザエさんは、深く頭を下げ、お邪魔になりましたと言っているようです。お婆さんは、多分、どういたしましてと言っているのでしょう。メグミちゃんは、座っているお婆さんの後ろに立ったまま、テレビを視ていた時の大粒の涙がとまらないようです。その姿を、カツオ君は、帽子も被らず、立ったまま、目を丸くしてジーッと視ています』

 

『サザエさんとカツオ君は、帰途につきました。カツオ君は小石を蹴りながら、首をうなだれてションボリと歩いています。先に歩いているサザエさんは、カツオ君を振りかえって、カツオ君の様子に、「何を考えこんでいるの」と不審そうに尋ねています』

 

サザエさんの四駒漫画です。

東京オリンピックが終わりました。

日本での初めてのオリンピック、テレビが毎日毎日伝えてくれました。

日本選手の活躍で盛り上がりました。

テレビは、選手達が選手村から帰って行く様子まで伝えています。

もう、これで、オリンピックも終わると、急に寂しくなります。

感受性の強い女の子は。テレビを視ながら泣いてしまいました。

大粒の涙が眼から溢れ止まりません。

そのまま、カツオ君を見送りに出たので、その涙は、彼の目にとまりました。

 

カツオ君は、女の子の家にお邪魔して、何をしていたんでしょう。

テレビを一緒に視ていなかったようです。

視ていたら、脳天気なカツオ君も少しぐらい、ウエットになっていたでしょう。

であれば、女の子が涙を流している訳も判った筈です。

視ていなかったので、涙することもなかった。

だから、お別れの時、何故女の子が、涙を流しているのか判らない。

 

お別れと涙、カツオ君は、実は、ロマンチックな男の子だった。

だから、勝手な思い違いで、何か感傷的になっているようです。

サザエさんも、カツオ君の思い違いに思い当たりません。

ただ、何を考えこんでいるのか教えてと聞くしかありません。

多分、カツオ君は、女の子がカツオ君とさよならするのを悲しがっている、と思い違いをしているようです。

そうではないよ、カツオ君、女の子は、オリンピックが終わったのが寂しいのです。