四駒漫画(233)お風呂の風景(43)

俺の石鹸を黙って使うな!

 

文庫36巻、昭和42年

『お父さんは今日も銭湯です。浴槽には4人の人達が浸かって、洗い場ではお父さんと若いお兄さんが体を洗っています。今日の銭湯は、混雑しているようです。お父さんは、洗面器にお湯を汲み、石鹸を着けたタオルを持ちで、背中をごしごしとこすつています。斜め後ろに石鹸の入った石鹸箱が置いてあります。その石鹸箱に、横で体を洗っている青年の手が伸びてきました』

 

『すると、お父さんは、ものすごく怒った顔で青年を睨みつけ。ハッタと石けん箱を自分の方に引き寄せました。青年はその恐ろしげな顔に身震いし、石鹸を掴む手を引いています』

 

『お父さんは、腰にタオルを巻いて、手には石鹸箱を入れた洗面器を持って、浴室から出てきました。怒りが収まらないのか、恐い顔をして浴室のガラス戸をピシャリと閉め、更衣室に「ゆだんもすきもならん」といいながらやってきました。まだ、おそろしく恐い顔をしています』

 

『浴衣を着たお父さんは、銭湯を出て、タオルと石けん箱の入った洗面器を手に持ち、家に帰っています。すると、カツオ君が石鹸箱を持って「お父さんせっけんわすれて困ったでしょう」と息を切らして走って来ました。おとうさんは、目玉をまん丸くして、しまったと言う顔をしています』

 

サザエさんの四駒漫画です。

お父さんは銭湯が好きでまたやって来ました。

今日は、銭湯に持ってくるべき重要なものを忘れて、銭湯に来ました。

しかし、健忘症のお父さんは、忘れてきたものを、持ってきたと思っているのです。

だから、人のものが、自分のものです。

お兄ちゃんが、使おうと手を出したら、頭のてっぺんには一本の毛しかないオジサンが、ものすごく恐い顔をして睨みつけました。

大人しそうな青年は、お父さんの恐ろしい顔に、身震いしました。

年をとり、もうろくし始めると、起こりうる物忘れと、人のものを自分のものとの思い違える。

年をとると、怒りっぽくもなります。

こんな、どこかの親父に、睨みつけられ、引き下がった気の弱い青年で良かった。

石鹸といえども、唯ではありません、横取りされたら文句を言いたいでしょう。

しかし、青年が自分のものだと文句をつけたら、自分が持ってきたと思いこんでしまっているもうろくオジサンと、大変な言い争いになったかも知れません。

例え、争いがあってもカツオ君が石鹸箱を持って来ていますから、お父さんの方が、物忘れのもうろく爺お言うことで負け、青年の勝で、争いは収まるでしょう。

それにしてもカツオ君は、優しい子でした。

石鹸箱を忘れたお父さんは困っていると、銭湯に石鹸箱を息を切らして走り、とどけてきました。

カツオ君は、お父さんが、石鹸箱を忘れて困っているだろう思ったようだけど、なに大丈夫だよ、お父さんは、人のものを自分のものにしてしまう位もうろくしているから。

だけど、カツオ君は、お父さんの健忘症が、ますます悪くならないように、息子が心配してあげる必要があるぞ!大変だ、