四駒漫画(229)お風呂の風景(39)

カツオ君の悪戯ではない、咄嗟の機転。


文庫32巻、昭和41年

『磯野家の風呂場です。浴室にも、物を置く場所が必要です。木製の風呂桶が置いてある浴室の壁に棚が取り付けられ、その棚に、箱に入れた磨き粉、丸い筒、ジョウロが置いてありました。風呂場にカツオ君がいて、やっと手の届く位の高さの棚からジョウロを取りました。お風呂は沸いていて、桶の蓋も取ってあります。ジョウロを掴み引き取った瞬間、ジョウロの先端が磨き粉の入った箱にぶつかり、箱の中の磨き粉が浴槽の中にザーッとこぼれ落ちました』


『浴槽のお湯が磨き粉で濁ってしまいました。カツオ君は、浴槽のお湯を覗き込み、しまったー、どうしようと思っているようです』


『カツオ君は、紙を拡げ、墨壷の墨汁を筆につけ何かを書いています』


『浴槽の横の壁に「神経痛によくきく」と書かれた紙が貼ってあります。浴槽にはお父さんが浸かり、お湯に浸けたタオルで顔を擦っています。そこへマスオさんも裸になりやってきました。マスオサンは、壁に貼ってある、「神経痛によくきく」と書かれた張り紙を見ながら「ほう、今日は薬湯ですか」と嬉しそうです。湯に浸かっているお父さんは、「なかなか良いよ」と、これまた、楽しそうです』


サザエさんの四駒漫画です。

今日は、お父さんは自宅の風呂です。

カツオ君の発想に、感心した落ちでした。

不注意でお湯の中にみがき粉を入れたしまった風呂は、白く濁ったのでしょう。

それを見て、カツオ君は咄嗟に思いついた。

薬湯にしてしまえ。

まさか、神経痛によくきくと張り紙をするとは。

お父さんとマスオさんは、みがき粉のお湯に浸かって、薬湯だと楽しく嬉しそうです。

昔も今も、湯の花と言うのが広く売られていました。

お湯の花は、温泉成分の不溶性析出物で、これを集めたものです。

成分は、各地の温泉特有のもので、温泉を訪れるとお土産として、売っているので、買って帰ります。

風呂に入れると白く濁リ、温泉の香りがして心地よいものです。

草津温泉では、温泉の流れ落ちる小川があり、その土手に湯の花がこびりついていました。

薬湯と言って、各地の温泉に、似せた成分で作った、小さなパック入りの薬湯が出まわっています。

缶入りのバスクリーンも良く使っていた時期があります。

お湯の中に、バスクリーンを入れると、緑色に蛍光を発しながら溶けて行く様子も楽しいものでした。

この種の薬湯と、珪砂、いわゆる砂の微粉末と界面活性剤を混ぜた磨き粉とは、まるで違うと思いますが、磨き粉を風呂に入れたことはありませんので判りません。

しかし、お湯に入った直後は、白く濁っていても、暫くすると、粉はそこに沈んでしまうと思うのです。

お父さんは「なかなか良いよ」と言っていますから、いい気なものです。

カツオ君、咄嗟の機転で、トラブル解消法としては、思いがけない発想でしたが、何度も通用する方法とは思わないよ!