四駒漫画(171):列車の光景-(65)

席を譲る時は、自分の席を!


文庫34(昭和42年頃)

『電車は満席のようです。6人の人が座っているのが見えます。太って鼻も口も大きい初老の紳士が腕を組み、首を傾けて眠りこけています。その左横に、太って角刈りの髪をしたサラリーマン風の中年のサラリーマン風の男が、「アー、今日は疲れた!」と情けない顔をして座っています』


『その電車の中に風呂敷包みを左腕に抱え持ち、右手には日傘を持った、背中も丸まり始めたお婆さんが乗って来ました。中年のサラリーマン風の男は、そのお婆さんに気づき見ています。横では初老の男が相変わらず眠りこけています』


『サラリーマン風の男は、突然、眠りこけている紳士を右ひじで突き、「終点ですよ!」と声をかけています。突かれた初老の紳士は驚いて目を覚ましました』


『サラリーマン風の男は、初老の紳士が立ちあがって空いた席を、お婆さんに示して、「どーぞ」と言っています。その状況に初老の紳士は唖然としています』


サザエさんの四駒漫画です。

サラリーマン風の男は、老人に席を譲ろうとする心掛けは立派です。

しかし、他人が座っている席を騙し取って譲るのではなく、自分が座っていた席を譲りましょう。

いくらあなたが疲れていようとも、気持よさそうに眠っている人を、肘で突いて、騙して立ちあがらせて、その席を、譲るとは何たることでしょう。

多分、サラリーマンは、隣で眠りこけている太った初老の紳士のイビキがうるさかったようです。

突かれて起き上がった紳士はどうしたでしょう。

怒って、サラリーマン風の男に殴りかかったかもしれません。

それほど気持よさそうに眠りこけていたんですから。

しかし、立ち上がった席に、お年寄りが座れば、そういうわけにはいかなかったでしょう。