四駒漫画(104):行列-10
文庫45(昭和48年頃)
『更科と大きく描いた看板を、店の出入り口の上部に架けた蕎麦屋の前に、粋のいいお店のお姉ちゃんが、蕎麦の入った3個のドンブリを乗せたお盆を右手に持ち、左手に自転車のハンドルを持って、自転車に跨り、出前に出ようとしています。そこに蕎麦屋の、コック帽を被り顔の面積の大きい店長さんが、「オーイ3人前でいいンだってサ」と呼びかけています。するとお姉ちゃんは「いいョいいョ」と自転車をこぎ出します』
『お姉ちゃんは、自転車を漕ぎながら「バレンタインデーだもん」とご機嫌です。自転車は、街路をスイスイと走っています』
『路側帯に長髪のお兄ちゃんが立っています。そこに、蕎麦屋のお姉ちゃんが自転車を寄せて、お盆の上のドンブリの一っを左手で持って、頭の上にハートマークを乗せて「食べてン!!」とお兄ちゃんに渡しています。お兄ちゃんは、思わず両手で受け取りました』
『お兄ちゃんが立っていたところは、バスを待つバス停の最前列で、その後にカツオ君とサザエさんが並んでいます。バスが近づいてきます。お兄さんは、ドンブリを思わず受け取ったものの「俺困るよ~~」と大声で叫んでいます』
サザエさんの4駒漫画です。
昭和48年頃の話です。
長い行列はありません。
この頃からでしょうか、バレンタインデーに、女の子が男の子にプレセントをするのが習慣になったのは。
蕎麦屋のお姉ちゃんは、注文の手違いで余ってしまった蕎麦のドンブリを、かねてから、恋心を寄せていたお兄ちゃんに、バレンタインデーだからと、場所・時間をわきまえず、バス停でプレゼントしました。
お兄ちゃんは、蕎麦屋のお姉ちゃんが、自分に気があると知らず、こんな時間こんな場所で、突然、蕎麦ドンブリをプレゼントされても、有難迷惑でしょう。
この漫画で、お姉ちゃんは不細工ですが可愛らしく、バス停でドンブリをプレゼントしている仕草も可愛らしい漫画です。
しかし、お兄ちゃんはこの後、貰ったドンブリを如何したでしょう。
「ドンブリを持ったままバスに乗った。そして、バスの中で喰った。」
それは出来ないでしょう。
「降りるところまで、汁をこぼさない様に持って行って、降りて、落ち着けるところで喰った。」
これも混雑するバスでは出来そうもありません。
結局、
「バスに乗らなかった。バスをやり過ごし、次のバスに乗ることにした。そして、その間に、後に並んだ人に、戻って来ても割りこみにならないように、場所を取って貰い、そこを離れて喰った。」
これは出来るでしょう。
しかし、通常、蕎麦ドンブリは喰わずに、バス停近くの道の端の邪魔にならない所に置いておくでしょう。
お姉ちゃんも綺麗な子ではありませんから、お兄ちゃんもかかり合わない方がいいでしょう。
ドンブリが、渡した所付近に置いてあれば、誰が喰ったとしてもお姉ちゃんの所に回収されそうです。
しかし、このお兄ちゃんが如何したかは判りません。
この先は、どうなるだろうと、思わされる四駒漫画でした。