昔話-7(カチカチ山‐1)

小さい頃、昔話を読んだり聞いたりしていました。面白く楽しいものでした。

もう、それも、随分昔のことで話の中身は正確には覚えていません。

どんな話だったかな、と思いだすことにします。

カチカチ山の昔話も、全てを思い出すことが出来ない。

カチカチ山のカチカチが、タヌキが背負った薪に、兎が火を付けるため火打石を打ち合わせる時の発する音に由来することは分かるが、話しの流れがどうであったか???

タヌキが何をしたのか、なぜ兎が出て来るのか、タヌキが薪をなぜ背負うのか、泥船は誰が作ったのかなどなど判らないところが沢山あります。

仕方ないのでワイド版岩波文庫206「日本の昔話(1)」を参照した。

次のような話であった。

山が近い農家に爺さんと婆さんが住んでいて畑を耕し、山から薪を集めて暮らしていた。

近くの山には性格の悪いタヌキが住んでいた。

このタヌキは、お爺さんが畑を耕しているところに現れては、お爺さんの悪口をののしってお爺さんに絡んでいた。

その上、播いた種をほじくって喰うなどの悪さもしていた。

毎日、現れては、ののしるタヌキをひっ捕えてやろうと、爺さんは、何時もタヌキが座る石にとり餅を塗りつけ、とり餅を塗りつけた棒を隠し持ち、畑に出かけた。

何時ものように、畑を耕し、種をまいているとタヌキが現れ、思った通り何時もの石に座って、爺さんをからかい始めた。

爺さんは素知らぬ顔で畑作業を続けていたが、タヌキが、お尻に石がくっついて動きが取れなくなったらしいのを見て取ると、用意していたとり餅の塗った棒と藤づるを持ってタヌキのところに走り寄った。

爺さんが迫ってくる。タヌキは逃げようとしたがお尻が石にクツ付いたままで、逃げられない。

爺さんは、とり餅のついた棒でタヌキの背中を叩いた。

これでタヌキは、お尻と背中を取り押さえられて、身動きがとれなくなった。

爺さんは、取り押さえたタヌキの手足を、持ってきた藤づるでぐるぐるに縛り、身動き出来ぬようにした。

爺さんは、縛った手足の間に天秤棒を通し、担いで家に帰った。

「婆さんや、今帰ったぞうー、悪戯タヌキを捕えたぞ!絞めてタヌキ汁にして食べようぞ」

と言いながら、戸口にタヌキを吊るした。

「婆さん、もう少し畑仕事を残したままだから、すまして来る」

と畑に戻って行きました。

吊るされたタヌキは、上から婆さんを見ています。

婆さんは、庭に臼を出して、粉を引いていました。

タヌキは

「婆さん、何回、臼で粉を引くんだ」

と聞いたら、婆さんは

「3回位だよ」

と答えた。

タヌキは、吊らされたまま

「そんなに沢山つくのか、そんなに沢山、気の毒だなー、俺も手伝うから、この藤づるを解いてくれませんか」

と云いました。

婆さんは、

「そんなことしたら、爺さんに怒られるからいやだよ」

タヌキは

「粉ひきが終わったら、また、もとのように吊るしてくれたら良いじゃないですか」と言われても、婆さんは駄目だと断っていました。

しかし、あまりにもしつこく言うので、お人好しの婆さんは、藤づるを解いてやりました。

自由になったタヌキは、婆さんを襲い殺してしまいました。

それから、婆さんの皮をはぎ、肉を切り刻み。

刻んだ肉を鍋に入れ、大根と野菜と煮込んで婆汁を作りました。

そして、婆さんの皮を被り、鍋の婆汁を煮て爺さんの帰りを待ちました。

この昔話は、恐ろしいですね。

タヌキは、人を騙すとことは、よく知ってましたが、タヌキに人を殺させ、こんな残酷なことをさせる話にするとは。

(続く)