四駒漫画(91):改札口
『角丸型の木製風呂桶に、楕円形の顔のオジサンが一人入浴中です。湯気が立ち上り気持ちいいお湯の筈なのに、この人は浮かぬ顔をしています』
『このオジサンが、浴槽に漬かったまま、タオルであごを触りながら、風呂場の外に向かって大きな声で叫んでいます。「オーイ今度風呂買う時は四角にしようよ」』
『メガネを架けた小太りのエプロンを着けた奥さんが、ガラーツとガラス戸を開き、何ですかと言わんばかりに現れました。オジサンは風呂桶の縁に顎を乗せ「うちに帰った気がせん」としょげかえっています』
『駅に改札口です。角丸型の改札ボックスの中に駅員さんがいます。サザエさんが切符を受け取っているのは、昨日、しょげ返った顔をして入浴していたオジサンでした』
サザエさんの4駒漫画です。
昔、改札口に駅員さんが入れる位の丸型の桶のようなコンクリート造りのスペースがあり、その中に改札をする駅員さんがいて、ハサミで盛んにチョキチョキとリズミカルに音をさせながら、改札口を通る乗客の切符を切ったり、受け取ったり、定期券を素早くチェックしたりしていました。
通勤客で混雑する時間帯では相当に神経が疲れる仕事だったでしょう。
特に改札口を出る時は押し流されるようでした。
この状態で職業だとは言え、改札が出来ていたもんだと思っていました。
現在の自動改札とは大きな違いがありました。
でも、駅員さんは、改札口を通る乗客を確りと見ていたようです。
例えば、次のように
『駅の方に向かって、マスオさんが傘を開いて向かっています』
『丸型のコンクリート製の改札口ボックスの駅員が、マスオさんが、畳んだ傘を持ち、バックを小脇に抱え、右手に持った定期券を駅員に見せ改札口を通り過ぎようとすると、駅員がマスオさんの左肩を押えて通り過ぎるのを引きとめました』
『マスオさんは、なにも不正なことはやっていない思い、頭に血が上ったような怒りの表情で駅員さんに向かい「どこがあやしいというんだ、キミぃ」
と、定期券を駅員の鼻先に突きだすと、大きな声で怒鳴りつけています』
『すると駅員さんは、マスオさんの持っている傘を指さし「いっまで駅の傘を使っていんの」と注意されました。マスオさんは恥ずかしそうに「ハハハついどうも」と照れながら沢山の乗客が笑っている中を通り過ぎて行きました。改札口の外には貸し傘が置いてあるコーナーがあります』
この漫画の中にもボックスの中に改札をしている駅員さんがいます。
人ひとりは入れる位のボックスです。
このボックスの中で、通り過ぎり沢山の乗客の乗車券や定期券をチェックする業務をやり続けるのは大変でしょう、ノイローゼになった駅員さんもいたでしょう。
しかし、この駅員さん、マスオさんが持っている傘を駅の貸し傘だとよくチェック出来ました。偉いものです。
このような昔の改札口とは違い、現在、改札口にはこのようなボックスも駅員さんもいなくなり、自動改札装置が並んでいます。
改札口も、無機質で合理化されたものになってしまいました。
時代の流れを強く感じる場所です。