切り餅(11)
越後製菓と佐藤食品工業の争いは、上記のように東京地裁の「侵害しない」という判決は、知財高裁では「侵害する」と中間判決が出た。
侵害するという佐藤食品工業の「切り餅」は、佐藤食品が有する特許権に従った商品である。
知財高裁の判決の通り結論が出れば、佐藤食品工業の切り餅は、製造販売できなくなるのだろうか?
切り餅の消費者からすれば、越後製菓の「餅」に比べ、取り扱い便利な点がある食品である。
越後製菓は、この通りの商品を製造することは出来ない筈だ。
逆に、佐藤食品工業の特許権を侵害することになるから。
先願に関わる越後製菓の発明と後願に関わる佐藤食品工業の発明とは、それぞれ特許権が成立している。
佐藤食品工業の「切り餅」が、越後製菓の「餅」を侵害しているとなれば、特許権を有するにもかかわらず実施を出来ないのだろうか?
特許法は、このような『自己の発明を実施できない場合』について規定しているようである。
本件のような事例が、あるのであろう。
佐藤食品工業の「切り餅」のような発明は、越後製菓の「餅」の発明に対して利用関係にあるという。
所謂[利用発明]に該当するようだ。
すなわち、餅体の側面に切り込みを入れるという「餅」の発明を基本発明とすると、これに対して、側面とともに、上面と底面にも切り込みを入れる「切り餅」の発明が、利用発明と言われるもののようである。
利用発明は、基本発明の「発明の構成」を主体として、「付加された構成」を有し、効果に於いて大差がない場合を指すのであろう。
だから、もし、利用発明を実施すると、先願発明を侵害するとなる。
利用発明は、どうすれば実施できるのだろうか。
特許法では、先願優位の原則があり、後願発明を実施するには、先願者から通常実施権の許諾を要することになっている。
これは、関係者(裁判所まで含むのか?)の協議により通常実施権は取り決められると言うことである。
消費者として、佐藤食品工業の「切り餅」の利便性を知れば、「餅体の側面だけではなく、上面にも底面にも切り込みがある「切り餅」」を、販売し続けられる方向で協議を進められることを望んでいる。
この争いに展開があった時、再度みてみたい。
(終)