机の前に座って、何やらやっていると、窓の外で、突然「ガァーガァー」と啼くカラスがいる。

鳴き声から、一羽だけのカラスのようで、仲間を引き連れていない。

公園のグランドで虫を追っかけていた、そしてバス停で立看板の上に止まって「ガァーガァー」と啼き、バスを待っている人々を見降ろしていた、あの孤高のハシボソカラスのようだ。

妙な話だが、時折、首をかしげながら此方を見ているこのカラスを見ていると、何となく愛おしく感じてしまう。

ほっそりとスマートで、ゴミ集積所に集まるカラス達と違い、良い姿をしている。

これに対して、ゴミ集積所に群がるハシブトカラスには、汚らしく、憎しみを持ってしまうほどだ。

カラスのゴミ漁りについて、この被害を何とかしないと駄目だと、ゴミ散乱を防ぐ取り組みが、住民、各地自治体により行われてきた。

ゴミ袋が黒色不透明であれば、カラスは中身が見えず、突きだすことはないはずだ。

ところが、自治体では、ゴミ袋は集めて焼却しなければならない。

しかし、自治体のゴミ分別収集に関して、作業者には中身が見えるゴミ袋の使用を住民に要請する。

すなわち、中身が、カラスに見えず、人には見えるゴミ袋、でなければならないそんな都合のいいものがあるのだろうか。

ゴミ袋を製造している企業は、その様な物を開発しようと検討したでしょう。

先ず、人間とカラスの視覚に、違いがあるのだろうか?

視覚に違いがなければ、目的のゴミ袋は得られないであろう。

鳥類は、目が特殊な構造(櫛膜)であり、色まで見分けられる優れた目を持っていると言われる([カラス狂騒想曲]今泉忠明著、株式会社:東京堂出版)。

カラスも、鳥類だ。鳥類と言えば、特に雄は、その華やかでカラフルな装いをしている。

雌は、このような華麗な色や模様を識別して、雄の元に寄って行く。

鳥類の雄は、そのために進化し、カラフルになったとすると、ということは鳥類の目が色を識別できることを示すものであろう。

さらに、カラスは、優れた色覚を持っていると、杉田昭栄著「カラスなぜ遊ぶ」(集英社新書)にも紹介されている。

ここでは、カラスの目は網膜の特殊構造を持ち、人間以上の色彩感覚があると、詳しく述べている。

すなわち、カラスと人間では色彩感覚が異なると言うことが、示唆されている。

これらの知見に基づいて、市販されている「カラスシャット」と言う黄色に着色されたゴミ袋は、開発されたらしい。

どのように開発されたのだろうか。

カラスシャットに関わる特許出願があり、特許権が、確定している事が検索できたので、黄色に着色されたゴミ袋の開発の状況を見てみる。

このゴミ袋「カラスシャット」に関連する2件の特許出願があった。

公開特許公報:特開2006-076761と特開2007-145586である。

これらの特許出願には、「中身が、カラスに見えず、人には見えるゴミ袋」をどのように見出し、開発したか、詳細に記載されていた。