もう、殆ど海に近い河口まで来てしまった。
ここら辺では、先ず、泳ぐのに苦労する。
俺が一体化した川亀では、塩分が多くなった、水の中に潜っているのは辛い。息苦しい。
小魚を食べようと水中で追っかけても、長く続かない。
だから、川底にいる生き物を探すが、水の中に潜って、追かけられない。
だから、海藻を喰って腹を満たした。
水中から、川岸に這い上がる泥の中には、ミミズのようで、ミミズではない、ムカデのような奴がいる。
啄んだら、結構旨いので、それも、見つけ次第喰ってやった。
もう、これ以上、川を下るのは止めた方がいいと思う。
泳ぐのも疲れる、水面近くを、頭を水面上に出したまま呼吸しながら、手足を交互に動かして泳がないとだめだ、塩分のため息苦しい。
河口の川は、殆ど海水になってしまった。もう、海だ。
こんな海では、生きていけない。
川上に戻ることにした。
暫く、懸命に泳ぎ、塩の少ない所まで戻る。
此処まで来たら、潜り続けることが出来る。
水の中には、いたいた、小魚がいる、小さなカニやエビも見つけることが出来た。
捕まえて喰った。矢張り、川の生き物は美味だ。
沢山食べたので、岸辺に這い上がる。
また、土手に、うつ向けになって休む。
亀の中に一体化している河童の俺は、横になって眠りたいと思うこともある。
河童の俺は、この河童の中にどんな姿で一体化しているんだろう。
亀がうつ向けであれば、俺もうつ向けだ。
俺は亀の中で、一体、どうなっているのかな。
河童の俺は、亀の脳味噌に存在し、亀と同じ姿勢で、亀を支配しているのだろうか。
亀の姿では、横になれないので、一体化している俺も横になれない。
苦しい姿勢でうつ向けで、余計なことを考えていると、俺の上空をカラスが飛んでいる。
カラスは、直ぐに俺だと判ったらしく、傍に飛び降りてきた。
「何だ、未だ、こんな所にいるのか。もう、海の近くにいるのかなと、海に近い所まで飛んで行ったが、何処にも、お前らしい亀が見つからないので、戻ってきたんだ。まだ、こんな所にいたのか」
と言う。
「ああ、どうも、河口の海の近くまで行ったんだが、この亀の体は、海で生きて行くには合っていないようだ。だから、この辺まで戻って来たんだ」
「そうか、判った。俺が、お前が一体化したがっているウミガメが、この辺りの海辺にいないか探し回る。見つけたら知らせるから、この辺に住んでいろよ。あの大きい松の木が目印だ。他のところに行くんではないよ。お前を探し飛び回るのも簡単ではないんだぞ」
亀に一体化した河童の俺は、ハシボソカラスの言う通りにしようと思いました。
一刻も早く、ウミガメへ変身だ、と思ったものの、なかなか簡単にはいかない。