読者が値段を決める手作り本
ゴルビ-長田 作品集
作品の一分
週刊紙に応募その1
サンデー毎日
「所変われば品変わる」と言われるように、世は様々。されど、トコロテンを一本箸で食べる地方はそうあるまい。この珍しい風習を書いて、週刊誌の公募に応募した。
トコロテンは一本箸で
白虎隊で有名な会津地方ではトコロテンを食べるとき、箸を一本しか使わない風習があります。
会津に生まれ育った私は、成人して東京に就職。故郷を離れて三十年近くなりました。全国を旅しましたが、一本箸でものを食べる風習には、ついにお目に掛かりませんでした。
先日、久しぶりに帰郷した際、「今でも会津では、トコロテンは一本箸で食べるのだろうか?」と妻と語らいながら、思い出多い奴郎ヶ前の茶店に出掛けました。
茶店は、会津若松市街から、東山温泉に通じる途中に、昔ながらのただずまいで営業を続けていました。青春時代に恋人同士で向かい合って座った席に、熟年の二人が座ってお互いの年輪を見つめ合っていると……。
「スミマセン、箸が一本しかないんですけど」
若い女性の声に振り返って見ると、東京からの観光客でしょうか、綺麗なお嬢さんが、プッとふくれたような顔をしていました。
週刊読売
週刊読売が、「日本語ナンセンスアップ」とのタイトル、副題が「誤用・娯用・御用だ!」。瞳をこらして、耳をすまして「へんな日本語」を探し出して下さい。と書いて原稿を募集した。
これは「誤って使われている」。見方によっては「娯楽に使っている」とも思える、面白味のある日本語を募集している。と理解して、日ごろ気になっていたことをいくつか書いて応募した。
「ええと、あのう、そのう……」
電話はプッシュだから「押す」。ワープロは「打つ」どうして?
ピアノを「叩く」、太鼓を「打つ」、琴を「弾く(はじく)」、「算盤を弾く(ひく)」ではだめでしょうね。
編集部さまの見解をお聞かせください。
※編集部からの回答=わかりません。こんな難しい質問しないで下さい。
風呂はやるもの
恥ずかしながら、わが家の話です。
「風呂を立てろ」
と言ったら、
「理屈に合わない」
と家人。
「焚け」というと、
「いまどき、焚くものなんか売ってない」
しからば、
「沸かせ」
と言ったところ、
「沸かさなくたって、ひねればお湯が出る」
言葉に詰まったので、
「やれ」と一喝したら、
「ハイ」
と言って湯舟を洗い始めた。以来、わが家では、風呂は「やる」ものとなった。これでいいのでしょうか?
編集部さまのご見解を乞う。
※編集部からの回答=好きにしてください。
※読者からも反応
わが家では「風呂を下ろす」と言います。太陽光利用の熱水機が屋根に上がっているからです。
「ヨロン」に負けた「セロン」
もうずいぶん前の話だが、「世論」を「ヨロン」と読む人がいたので、それは「セロン」と読むんだよ、と学のあるところを披露した。相手がおもしろくなさそうだったので、念のために広辞苑で確認してみた。やはり「セロン」だった。
ところが現在では、誰も彼も「ヨロン、ヨロン」。広辞苑さえ第二版では「ヨロン」になる始末。やれやれ、いまや「世論」を「セロン」と読んでいるのは、化石人間だけなのか……。
(なお、現在《本書出版時》は、「ヨロン」も「セロン」も両方使われています)
とうふ納豆、ナットウは豆腐が正しい
トウフは豆汁を箱に納めて、ニガリで固めて作る。従って「納豆」という字を当てるべきではないか。
それに引き換え、ナットウは豆を腐らせ(発酵)て作るのであるから、「豆腐」という字を当てるのが妥当ではないだろうか。この二つの漢字、アベコベではないでしょうか。
※読者からの反論
「『豆腐』と『納豆』があべこべではないか」という意見がありましたが、「腐」という漢字は、中国では本来「物が固まる」という意味があります。そうなりますと、トウフは『豆腐』で問題はないのです。
※こう水を差された小生は、「だったら、『納豆』の方はどうなんだ!」と、独り毒ついております。
政治家の大ウソ
「政治には金がかかる」
政治家は二言目にはこういう。だが、金がかかるのは、金の力で票を集めようと、政治家が金をばらまくからだ。 正しい日本語を使えば、
「政治家が金をかける」
こういうことだろう。
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ゴルビ-長田作品集の表紙
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