犬用のホワイトボード。
餌や水をやった時間や、さんぽに行った時間を記入するようになっている。
仕事から帰ると、大概子ども達はいないので、犬の世話をどこまでやったのか、スムーズに引き継ぐことができる。
夕方6時半。家に帰ると誰もおらず、さんぽ欄が無記入だ。
仕方ない。少しでも行ってやるかと犬にリードを装着し外に出掛ける。
5分ほど歩くと、前から若い女性が歩いてきてすれ違う。
めったに他人に寄っていくことはない無表情犬なのに、急にしっぽをちぎれんばかりに振り、女性の許に駆け寄ろうとする犬。
どうやら高2娘だと勘違いしたらしい。
それにしても、髪型も服装も何一つ似ていない。
喜んで近づいた犬に、ウフフフと笑いかけてくれたが、声も全く似ていない。
通りすぎていく女性に、ナンデ??とばかりに追いすがり、キャンキャンといつもは出したことのないような声をあげる。
両手で犬の顔を挟み、ほら違うよ。よく考えて。
と諭しても分かるわけがない。
あわてて家の方に向かって走りだし、帰宅。
家の中をあちこち探している。
ほら、だから違うって言ったじゃん。居ないでしょう。
一体なんだったんだろうか。
しばらくすると、中1息子が塾から帰ってきて、「さんぽ行ったけど」とかのたまう。
相当走って運動にはなったけれど、どうかホワイトボードに書いておいておくれ。
だってそうだと思ったんだもの。