私は、突如、病院長に呼び出され、天真大学に行くよう命じられた。

中には肝移植をテレビでやったのを、心良く思わなかい連中も、中にはいるのだ。


特に裏取引で金を儲ける裏世界の連中は……。

そして、その代表が、天真病院である。

私が、肝移植をテレビでしたのは、実は策略でもあった。

裏世界を動かすための。
敵は私の方からやってきたことに驚いていた。

だが、天真病院は表面上、普通の病院のように見せた。

私は外科に入った。

病院長との交換条件だった。

肝移植を私が第一助手としてやることと、引き換えに天真病院の外科に潜入するという約束を……。

誰にも内緒で……。

そして、この外科では、ミスをちょっとしただけで、殴られるということが、当たり前のように起こっていた。

私は、血液検査をするために、それを検査室にもって行った。

そこの医師は笑みを浮かべて

「この前のテレビ、見せてもらったよ。

見事な腕前だな。

うちに来た理由は?」

私は平然と

「腕をもつ医者を、欲しがってるという話しを聞いたからです。

あなたこそ、警視庁公安部の人間が、何故、血液検査を?」

その人物は、私の知ってる公安の人間である。

だが、敵の可能性もあるため、油断はできない。

男は笑みを浮かべて

「残念ながら、俺にはこれくらいしかできない。

だから、このままここにいるというわけだ。

まったく一般人が、こんな危険なところに来るとはな。

困ったものだ。

だが、何かあったら、第二外科助教授に相談しろ。

彼なら、助けてくれるはずだ。

いいね?」

「ま、一般人としてやってきた私には、関係ないと思いますが、まぁ、その言葉、覚えておきますよ」

彼は冷静に頷いた。

やはり彼も狸である。

世の中、駆け引きが、何をするにも必要となる。

特に敵の居城である。

そして、出ていくと二人の男が階段から下りてきた。

一人は副幹事長で、もう一人が、第一外科教授である。

この組み合わせに、冷や汗かいた。