私が捜査本部の中に入ると大阪府警察・警視庁・愛知県警の捜査一課及び安全部の課長クラスの幹部が勢揃いし、滝山刑事部長・榊原安全局長かいて、その中心に深山俊介がいたのだが、俊介を見て私は驚愕した。

俊介に成り済ましているのが、母上のクローンだったからだ。

しかも、母上より遥かに強い魔力をもっていた。

そして、それを隠そうともしなかった。

私の魔力じゃなきゃ、クローンかどうかなど気づかないだろう。

だが、何だ!?この違和感は・・・・・・。

私の体があれを見ただけで震えた。

とんでもない化物がいるかのような・・・・・・。

そんな時、私の肩に手を乗せた人物がいて、頭に話しかけてきた。

「美里、落ち着いて。敵に見抜かれるわ。

私もあなたの母上のクローンだから、手に取る用にわかるけど、彼女は味方よ。

もし、敵なら魔力は完全に消してくる。

何故なら、敵なら自分の存在を消しておきたいからね。

それをわざわざ出してるのは、敵へのプレッシャーよ。

謀多きは勝ち・少なきは負ける。

覚えておいてね」

その人物は、そう言うと気配を消した。

私は恐かった。

今の母上のクローンだという人物の、魔力は、母上とは雲泥の差と言っていいほどの上の桁外れの魔力を、もっていた。

ただし、あっちは邪悪な気配はしなかったし、私の正体を知っていた。

クローンなのは、間違いないだろうけど・・・・・・。

でも、落ち着かないと。

義弘お父さんは、笑みを浮かべて、頭に話しかけて

「安心しなさい。あの二人は味方だ。

一人はレナが七割の力を失って生み出した究極のクローンだ。

本来なら、二割の力で造るものだが、それを七割の力を使って造ったということは、おそらく、今回の大阪における陰の指揮官だ。

そして、俊介に化けてる奴は、クローン三人で造らせたクローンだ。

だから、あいつも味方だ。
お前が会ったレナは、実力の半分以下の状態だったということだ。

ちなみに、お前が生まれる時、本来ならあり得ないんだが、レナの魔力は、半分お前に奪われたらしい。

そんなことは考えられないんだがな。

だから生まれながらにして、天才の魔力の持ち主が生まれたわけだ。

史上最強の魔力の持ち主がな」

「本来ならあり得ないってどういうこと?」

「簡単だよ。生まれた子供が、母親の力を奪うことのないよう強力な術がかけられているからだ。

レインとガイアなら、なおのことそうしてる。

じゃないと、敵が襲いかかってきた時、戦えないだろ?

しかも、その後、シャナンに修行させなきゃいけないんだから、尚更だ。

ということは二つの理由が、考えられる。

レナが敵を倒した時に呪いがかかるように、仕組んだ奴がいたか、お前が相手の魔力を奪い取る天性の能力を持ち合わせていたかということだ。

だが、後者の可能性はない。

つまり、何者かに呪いをかけられたんだ。

それも、レナでも解けない強力な呪いをな。

ま、それは所詮、過去のことだ。

お前が気にする必要はない」

義弘はもう一つの可能性を考えていた。

もし、ユリアとレナが最初から、美里の天性の才能を未来を予知して気づき、わざと自分の力を美里に渡したとしたら?

あの二人の策だったとしたらと考えてしまう自分もいるけど、それが、真実なら二度半分以下にレナは落ちたことになるわけだが、そんなに簡単に力が、取り戻せるわけはない。

だとすると何者かに呪いをかけられていたと考えるべきだ。

美里に魔力を奪い取る能力はない。

レナでさえ解けない呪いか。

そんなことができる奴がいるとしたら、奴しかいない。

エレボス!

奴なら遠距離でも、それができる。

だから、レナは決着をつけにいったのか。

自分の呪いを消し、未来のために。

だが、あれ以来、レナもエレボスも気配が消えたままだ。

レナめ!どうして、一人で何でも背負うんだ。

たく、あのレナがここまで、ユリアに似てくるとは驚きだ。

義弘も溜息をついた。

ユリアとレナが、揃いも揃って、美里に試練を与える布石なのではないか?

と考えたくなるが考えすぎか。