日が沈む頃、私は潜入してる組織から人気のない山の中に呼び出された。

組織でのコードネームはアナト。

そいつは、黒いコートを羽織り、顔を半分隠した状態でその男は現れた。

「久しいな。アナト」

私は笑みを浮かべて

「ご無沙汰しております。

ミカエル様。

ミカエル様が、現れたということは、いよいよ次の段階に入ると考えてよろしいでしょうか?」

ミカエルはヤマの片腕で常に冷静沈着。

私はミカエルの片腕として動いてる。

そう、アイテール帝国の背後にある謎に包まれた組織、それこそ、我々が追わなければならない真の巨悪だと考え、カイザーは私を潜入させた。

ヨーロッパでの経験を、三年したあと、中一の頃に潜入し、ある手柄によりミカエルに抜擢されたのだ。

もちろん、ミカエルはカイザーの曾孫であることを知っている。

ミカエルとカイザーの付き合いは長い、五十年の付き合いらしい。

ミカエルは厳しい表情をしながら

「田沼剛三及び高倉米蔵が死んだ。

ということは、いよいよ星川大治郎が動き出す時期だ。

そろそろ、奴の背後にいる奴らが動き出しかねない。

そこで、今回は先制攻撃をかけておくに限る。

松山家にもっと優秀な人材が、お前の父、世代に居れば良かったんだがな。

日本は間違いなく、星川家に松山慶一郎の死後、牛耳られる。

星川家は人材豊富のエリートの家系だからな。

ということで、次の段階に入れ」

「わかりました」

ミカエルは、星川家への宣戦布告を考えているのだ。

星川家の背後に何かあるのなら引きずり出さなければならない。

私はすぐに札幌に向かい、ある人物を夜の大通り公園に呼び出した。

「ご無沙汰しております。アナト様」

「ミカエル様から指令が出た。

次の段階に入る。

知事を殺せ。

あの男に罪を着せてね」

「田沼剛三が、死んだこといや何者かに消されたことであのお方も焦っておられるようですね。

しかし、あのラファエル様も動き出してしまうのではないですか?」

「そうね。メイを殺した張本人であるあの男が、出てこないわけないわ。

おそらく、ミカエル様の想定内だから、問題ないわ」

「それでも私は、メイを殺したことは許せません。

そして、アナト様も二の舞になるのではないかと不安で仕方ありません」

「私の心配より、任務に集中しなさい」

「御意」

次の日、知事の遺体が豊平川で発見された。

凶器から国会議員の星川哲郎の指紋が出たため、即刻、逮捕された。

星川大治郎は、松山慶一郎・田沼剛三に次ぐNo.3の実力者だったが、田沼剛三が死んだためNo.2になった星川大治郎の息子だった。

そして、情報がすぐに流された。

そう、パールバティの仕業に見せかけた情報操作。

これが、ミカエルが考えたシナリオというわけだ。

さてどう動く?

翔子姉さん?

そして、星川大治郎。

何と警察は、殺人教唆の疑いで星川大治郎を逮捕した。

知事は、星川家に取り入って甘い知るを吸う男というのは裏世界で知らない者はいない。

そして、星川家の秘密も数多く知ってる男でもある。

つまり、星川大治郎にも動機があるということだ。

事実を誇張して、情報操作する。

これが私の潜入してる組織のやり方だ。

もちろん、捕まえたのはただの影武者なのはわかりきってる。

あのガルシアを震えさせるほどの星川大治郎が、捕まるわけがない。

星川家が人材豊富で裏世界を松山慶一郎が死んだら、手に入れると言われている男で相当な狸だ。

そんな男にミカエルは、正面きって喧嘩を売ったわけだ。

松山家に私より上の世代が、優秀ならこんなことにはならなかっただろう。

そして、田沼家も田沼剛三の死後、恵美を除いて屑しかいない。

困ったもんだ。恵美には本当に同情する。

星川大治郎の真の目的は、世界の裏世界を牛耳ることになると私は踏んでるけど、本当は背後にいる奴に操られてるだけなのではと考えることもある。

ミカエルはそれを狙ってるのではないだろうか?

そんな時、又、呼び出された。

最も会いたくない奴に。

新得~富良野の間にある狩勝峠に小屋を密会ように建てた男がいた。

コードネームはラファエル。

ヤマの三大幹部の一人だ。

この森林に囲まれた所なら誰にも見られることはない。

こいつの目的はそれだけじゃない。

私が小屋に入るとベットとビデオカメラが置いてあった。

ドアを閉めると私はラファエルの玩具にされていた。

ビデオカメラをまわされながらベットで抱かれていた。

ラファエルいわく、女を武器に男を思い通りに動かせ。

その鍛練だと。この男は十四歳~三十歳未満の自分の部下を会うたびに抱く。

そういう男だ。

そして、朝、小屋の窓から陽射しがたちこめ始めた頃、本題に入った。

「アナト、ミカエルが星川大治郎に喧嘩売ったそうだな。

今回の戦いは今までにないものになる。

そこで、俺の懐刀のモトをここに来させることにした。

お前は、モトと協力してことにあたれ。

場合によっては、俺が出ていく。

逐一、報告しろ。

今回の件を上手くやれば出世できるぞ」

ラファエルは、相当な野心家だ。

ヤマに内緒で闇に紛れて動き、自分の影響力を確固たるものにする。

それが、ラファエルなのだ。

そして、優秀な組織の一員に近づき利用する。

相手がかなり上なため誰も反論できない。

そして、ラファエルが出てきた以上、奴の息のかかったのがどこにいるかわからないため、私も要注意だ。

部下を消す要因も簡単に作り出す。

メイが消されたのはそういうことだ。

優秀なCIAのエージェントだったのに・・・・・・。

私とは本当に仲が良かった。

優秀なもの同士だからこそ、わかりあってた。

だけど、神戸でメイはミスをした。

ラファエルが刑事に化けていることに気づかずに、CIA本部に状況を伝えて、こう動いてほしいということを聞かれてしまい、エレボスの振りをして強姦して殺されたというわけだ。

モトも、神戸にいっていたため、かなりラファエルにビクビクしていた。

モトは私のファームに、私がラファエルと別れて三時間も経たないうちに現れた。

私が現れると

「ご無沙汰しております。

アナト様。ボスから、話は聞いていますよね?

アナト様といえど私の指示に従っていただきます。

私の指示はボスの指示です。

じゃないとあなたも、メイ・ハインツと同じことになります。

気をつけて下さい」

モトは本当にビクビクしていた。

「モト、そんなにビクビクしていたら、星川大治郎の手の者に、尻尾掴まれて消されるわよ。

あの男は、そういうのを一切逃さない。

気をつけなさい」

「御意」

と頷いたのだった。