私は、理彩に連絡を取って会った。
「今日の昼間は驚いたわ。
まさか、久保清子が、ああいう出方をしてくるとはね。
あの中に悪人がいないなんて言い切るなんてね」
理彩もまた、溜め息をつきながら
「私もよ。久保清子、さすがは清美が一目置くだけはあるわね。
彼女は、場を支配する力が強い」
「同感ね。修羅場をかなり潜り抜けてきた人物と見て間違いないわね。敵は、清子をまず、送り込んできたと私はみてる」
「確かにあれだけの力がある人物なら、一手としては有り得るわね」
「それで、鹿島家としてはどうするつもり?」
「私の目的はルディ・ガルシアただ一人よ。目的に変更はないわ」
理彩の強行姿勢は変わらなかった。
「あなたはどうするの?
副大統領の手の者が入り込んでるみたいだけど・・・・・・」
「私は、今回はフラカンと協力しようと思ってる。
あなたもそのつもりでしょ?」
「へぇ、あなたからそんな言葉を聞くとはね。あなたはガイアが誰かわかってるの?」
「ええ、おそらく鹿島輝美に変装してるわ」
「やっぱり、あたなもそう思ってたか。さすがね」
「そっちこそ、それより問題なのは清美、あなたの姉が誰に変装してるのかってことよ」
「そうだよね。敵も味方もお姉ちゃんが誰に変装してるかわからないんだもんね」
佐山理彩、又の名を金田翔子・又の名を月島翔子という。彼女は五年間、金田翔子に変装したのだ。
私と翔子はずーっと連絡を取り合ってきた。
だから、互いに正体を知ってるわけだ。
そして、ガイアの正体がわかったのは簡単、奴は私の前で一瞬だけ気配を見せた。
もし、私と対決するつもりならそんな真似はしない。
正確にいえば、それで清美を探そうとしていたというべきか。
フラカンが、協力したがってるのは清美とみて間違いない。
私は気づかない振りをしたけど・・・・・・。
「それと、今回、想像を絶する化け物が、現れてるみたいよ」
「想像を絶する化け物?」
「ええ、副大統領のところにセイジ家の人間を潜り込ませて得た情報よ」
理彩はゴクンと息を呑みながら
「誰なの?その化け物って?」
「南アメリカから、世界を動かす化け物と言えばわかるんじゃない?」
理彩の表情が、みるみる変わっていった。
当然だ。彼女の父、月島望が追っていたといわれる巨大組織の中枢を担う幹部、ウラノス。
理彩は聞いた。
「ウラノスが神戸に来たの?」
「いえ、ウラノスより上よ。そいつは、フラカンすらも軽く動かせるほどの奴よ」
「誰なの?」
「セイジ家では、そいつが組織の黒幕だと思ってる。
そいつのコードネームは、アンシャル。悪魔の代名詞よ。
組織の黒幕の癖に自ら動きたがる変わり者。
だけど、その頭脳と銃の腕は超一流で、彼の素顔を見た者で生きて帰ることができたものはいない。
それと、テラーなんじゃないかとも言われてるわ」
テラーとは、ナイフを使う殺人鬼で裏世界の大物や世界の大物達を、金で殺人を犯す殺人者・又は悪者だけを始末するテラー、テラーと名乗る人物は三人はいるが、二人は名乗ってるだけで、本物がアンシャルではないかと憶測があった。
それはともかく、アンシャル自ら乗り出して来るとは、面白くなってきた。
理彩は半信半疑の中、聞いてきた。
「どうして、そんな大物がわざわざここに来る必要があるの?」
「それはね。私が餌をまいたのよ。
奴、自ら出てくるようにね」
理彩は驚愕した。
その頃、フラカンも神戸に来ていた。
フラカンとしては、正直、苛々していた。
まさか、この私までが来るはめになるとはな。
だが、あの方の勘が当たっていればあの男は必ず来る!
それにしても、この筋書きを書いた奴は恐るべき頭脳をもってるな。
フラカンの前にウラノスが、現れた。
「よう、フラカン、久しぶりだな」
「これはこれはウラノス様。
あなたも来ていましたか」
「仕方がないだろ。あの方直々の命令だ。それにルディ・ガルシアをこの手で始末する絶好のチャンスだ。
あの男が犯罪を犯す度に、動きにくくなるのはたまらん。
それに、あのエールを本気で動かした奴というのにも会ってみたいしな」
エールとは、裏世界で知らない者はいないほど恐ろしい男である。
この男は、犯罪の成功率100%という男で狙った獲物は逃さない。
こいつを今回、動かした奴がいる。
組織の幹部、世界の幹部、護衛を含め容赦なく殺人を繰り返す、大量殺人者、こいつがここに現れたからこそ、あの方自ら動いているのだ。
ルディ・ガルシアも、奴を始末するために動き出した。
奴は、全ての裏世界から狙われていた。
テラーとは違って、こいつは殺人そのものを楽しんでいる。
その頃、ルディ・ガルシアも神戸に来ていた。
「あの忌々しいエールをこの手で始末してやる!そして、わざわざ、この俺をこんなところに呼び寄せた奴の顔を見させてもらうぞ」
とルディ・ガルシアも怒りに震えていた。
そして、清美はエールに会っていた。
「久しぶりね。エール」
エールは不適な笑みを浮かべて
「ああ、五年前に対決して以来か。あの時は邪魔者に邪魔されて決着はつかなかったが、どういうつもりだ?俺を呼び出すなんて?
その顔だと俺と決着をつけるためじゃなさそうだしな」
清美も笑みを浮かべていた。
「もちろん、あなたと決着をつけたい気持ちもあるけど、今の目的は違う!
何者かに警察庁を警察省にするのを、今、一歩というところで邪魔された、副大統領一派もいきなりの官房長逮捕に激怒してるし、勝手に高見兵吾の名前を使われたことで、高見兵吾も激怒してる。
いつでも、逮捕できる小物を逮捕する必要なんてないからね。
この件は深山警視総監もぐるよ。
深山警視総監を動かせてしまうほどの力をもつ悪魔、そいつにとってはどんな手を使ってでも警察省にするのを、阻止したがってる大物がいるのよ。
政界がどうあがいたところで、深山警視総監を動かすことは不可能、政界の首根っこを知り尽くしてるから、いつでも逮捕できるのよ。
ただし、裏世界や諸外国と駆け引きする際に、今の政界連中を逮捕してしまうと立ち向かえなくなるからあえて游がせていた。
当然、政治家でさえ利用してしまうんだから、官房長なんざ、眼中にないのよ。なのにあのタイミングで逮捕だからね。
だから、あなたを餌にそいつを引きずり出すことにした。
そいつにとっても、あなたは始末したいだろうしね。
お互いにそうでしょ?」
エールは苦笑いしながら
「そんな大物が、来る確信はどこから出てくるんだ?」
「そのために、アンシャルとルディ・ガルシアを餌にさせてもらった。
あなたは、幹部を殺してるからあなたの名を出したら見事に食いついたわ。
必ず、奴は現れる」
「とんでもない女だ。だが、警察省にするのを邪魔した奴は、万死に値する。
俺の手で始末してやる!
必ずな!」
清美は今回限定でエールと手を組んだ。
エールは高見兵吾を越える優秀な一級捜査官だった。
もし、警察にとどまっていたら、史上最年少の刑事局長になったのは父ではなく彼だった可能性もあるのだ。
彼が、警察を辞めた原因は二十年前、彼は史上最年少の警視正になった時に起こった。
あの時から、エール・義弘・兵吾の三人は警察省にすることをこの当時から、考えていた。
そして、この時ももう少しで警察省にできる寸前まできていた。
だが、この時も邪魔が入った。
民山重雄次長を中心に上手くいくはずだった。
だが、その当時の国家公安委員長は、世界の表裏を牛耳る力をもっていた。
そして、この男は、圧力をかけてこの件を握りつぶした上に、その当時の刑事局長が無実の収賄の罪を着せられエールの父を見せしめのために潰した。
刑事局長の不正を、マスコミにリークし警察省の話は無くなった上に、彼も責任をとって警察を辞めなければならなくなったのがエールなのだ。
この時から、彼は変わった。
悪人を始末するためなら、邪魔者を全て排除した。
そして、殺人を楽しんでいるがごとく言われるようになったというわけだ。
それが、エールだ。
五年前、私が奴と対決したのも組織の命令である要人の護衛をしてた時、だったのだ。
さすがに彼は、子供相手に本気で殺そうとは思えなかったようだ。
だが、私と撃ち合っているうちに私相手に手加減したらやられるのは自分だと判断し、本気で撃ち合いになった。
結局、私との決着はつかなかった。
そこに、カオスが現れたからだ。
私とカオス相手では部が悪いため、エールは引いたというわけだ。
「今日の昼間は驚いたわ。
まさか、久保清子が、ああいう出方をしてくるとはね。
あの中に悪人がいないなんて言い切るなんてね」
理彩もまた、溜め息をつきながら
「私もよ。久保清子、さすがは清美が一目置くだけはあるわね。
彼女は、場を支配する力が強い」
「同感ね。修羅場をかなり潜り抜けてきた人物と見て間違いないわね。敵は、清子をまず、送り込んできたと私はみてる」
「確かにあれだけの力がある人物なら、一手としては有り得るわね」
「それで、鹿島家としてはどうするつもり?」
「私の目的はルディ・ガルシアただ一人よ。目的に変更はないわ」
理彩の強行姿勢は変わらなかった。
「あなたはどうするの?
副大統領の手の者が入り込んでるみたいだけど・・・・・・」
「私は、今回はフラカンと協力しようと思ってる。
あなたもそのつもりでしょ?」
「へぇ、あなたからそんな言葉を聞くとはね。あなたはガイアが誰かわかってるの?」
「ええ、おそらく鹿島輝美に変装してるわ」
「やっぱり、あたなもそう思ってたか。さすがね」
「そっちこそ、それより問題なのは清美、あなたの姉が誰に変装してるのかってことよ」
「そうだよね。敵も味方もお姉ちゃんが誰に変装してるかわからないんだもんね」
佐山理彩、又の名を金田翔子・又の名を月島翔子という。彼女は五年間、金田翔子に変装したのだ。
私と翔子はずーっと連絡を取り合ってきた。
だから、互いに正体を知ってるわけだ。
そして、ガイアの正体がわかったのは簡単、奴は私の前で一瞬だけ気配を見せた。
もし、私と対決するつもりならそんな真似はしない。
正確にいえば、それで清美を探そうとしていたというべきか。
フラカンが、協力したがってるのは清美とみて間違いない。
私は気づかない振りをしたけど・・・・・・。
「それと、今回、想像を絶する化け物が、現れてるみたいよ」
「想像を絶する化け物?」
「ええ、副大統領のところにセイジ家の人間を潜り込ませて得た情報よ」
理彩はゴクンと息を呑みながら
「誰なの?その化け物って?」
「南アメリカから、世界を動かす化け物と言えばわかるんじゃない?」
理彩の表情が、みるみる変わっていった。
当然だ。彼女の父、月島望が追っていたといわれる巨大組織の中枢を担う幹部、ウラノス。
理彩は聞いた。
「ウラノスが神戸に来たの?」
「いえ、ウラノスより上よ。そいつは、フラカンすらも軽く動かせるほどの奴よ」
「誰なの?」
「セイジ家では、そいつが組織の黒幕だと思ってる。
そいつのコードネームは、アンシャル。悪魔の代名詞よ。
組織の黒幕の癖に自ら動きたがる変わり者。
だけど、その頭脳と銃の腕は超一流で、彼の素顔を見た者で生きて帰ることができたものはいない。
それと、テラーなんじゃないかとも言われてるわ」
テラーとは、ナイフを使う殺人鬼で裏世界の大物や世界の大物達を、金で殺人を犯す殺人者・又は悪者だけを始末するテラー、テラーと名乗る人物は三人はいるが、二人は名乗ってるだけで、本物がアンシャルではないかと憶測があった。
それはともかく、アンシャル自ら乗り出して来るとは、面白くなってきた。
理彩は半信半疑の中、聞いてきた。
「どうして、そんな大物がわざわざここに来る必要があるの?」
「それはね。私が餌をまいたのよ。
奴、自ら出てくるようにね」
理彩は驚愕した。
その頃、フラカンも神戸に来ていた。
フラカンとしては、正直、苛々していた。
まさか、この私までが来るはめになるとはな。
だが、あの方の勘が当たっていればあの男は必ず来る!
それにしても、この筋書きを書いた奴は恐るべき頭脳をもってるな。
フラカンの前にウラノスが、現れた。
「よう、フラカン、久しぶりだな」
「これはこれはウラノス様。
あなたも来ていましたか」
「仕方がないだろ。あの方直々の命令だ。それにルディ・ガルシアをこの手で始末する絶好のチャンスだ。
あの男が犯罪を犯す度に、動きにくくなるのはたまらん。
それに、あのエールを本気で動かした奴というのにも会ってみたいしな」
エールとは、裏世界で知らない者はいないほど恐ろしい男である。
この男は、犯罪の成功率100%という男で狙った獲物は逃さない。
こいつを今回、動かした奴がいる。
組織の幹部、世界の幹部、護衛を含め容赦なく殺人を繰り返す、大量殺人者、こいつがここに現れたからこそ、あの方自ら動いているのだ。
ルディ・ガルシアも、奴を始末するために動き出した。
奴は、全ての裏世界から狙われていた。
テラーとは違って、こいつは殺人そのものを楽しんでいる。
その頃、ルディ・ガルシアも神戸に来ていた。
「あの忌々しいエールをこの手で始末してやる!そして、わざわざ、この俺をこんなところに呼び寄せた奴の顔を見させてもらうぞ」
とルディ・ガルシアも怒りに震えていた。
そして、清美はエールに会っていた。
「久しぶりね。エール」
エールは不適な笑みを浮かべて
「ああ、五年前に対決して以来か。あの時は邪魔者に邪魔されて決着はつかなかったが、どういうつもりだ?俺を呼び出すなんて?
その顔だと俺と決着をつけるためじゃなさそうだしな」
清美も笑みを浮かべていた。
「もちろん、あなたと決着をつけたい気持ちもあるけど、今の目的は違う!
何者かに警察庁を警察省にするのを、今、一歩というところで邪魔された、副大統領一派もいきなりの官房長逮捕に激怒してるし、勝手に高見兵吾の名前を使われたことで、高見兵吾も激怒してる。
いつでも、逮捕できる小物を逮捕する必要なんてないからね。
この件は深山警視総監もぐるよ。
深山警視総監を動かせてしまうほどの力をもつ悪魔、そいつにとってはどんな手を使ってでも警察省にするのを、阻止したがってる大物がいるのよ。
政界がどうあがいたところで、深山警視総監を動かすことは不可能、政界の首根っこを知り尽くしてるから、いつでも逮捕できるのよ。
ただし、裏世界や諸外国と駆け引きする際に、今の政界連中を逮捕してしまうと立ち向かえなくなるからあえて游がせていた。
当然、政治家でさえ利用してしまうんだから、官房長なんざ、眼中にないのよ。なのにあのタイミングで逮捕だからね。
だから、あなたを餌にそいつを引きずり出すことにした。
そいつにとっても、あなたは始末したいだろうしね。
お互いにそうでしょ?」
エールは苦笑いしながら
「そんな大物が、来る確信はどこから出てくるんだ?」
「そのために、アンシャルとルディ・ガルシアを餌にさせてもらった。
あなたは、幹部を殺してるからあなたの名を出したら見事に食いついたわ。
必ず、奴は現れる」
「とんでもない女だ。だが、警察省にするのを邪魔した奴は、万死に値する。
俺の手で始末してやる!
必ずな!」
清美は今回限定でエールと手を組んだ。
エールは高見兵吾を越える優秀な一級捜査官だった。
もし、警察にとどまっていたら、史上最年少の刑事局長になったのは父ではなく彼だった可能性もあるのだ。
彼が、警察を辞めた原因は二十年前、彼は史上最年少の警視正になった時に起こった。
あの時から、エール・義弘・兵吾の三人は警察省にすることをこの当時から、考えていた。
そして、この時ももう少しで警察省にできる寸前まできていた。
だが、この時も邪魔が入った。
民山重雄次長を中心に上手くいくはずだった。
だが、その当時の国家公安委員長は、世界の表裏を牛耳る力をもっていた。
そして、この男は、圧力をかけてこの件を握りつぶした上に、その当時の刑事局長が無実の収賄の罪を着せられエールの父を見せしめのために潰した。
刑事局長の不正を、マスコミにリークし警察省の話は無くなった上に、彼も責任をとって警察を辞めなければならなくなったのがエールなのだ。
この時から、彼は変わった。
悪人を始末するためなら、邪魔者を全て排除した。
そして、殺人を楽しんでいるがごとく言われるようになったというわけだ。
それが、エールだ。
五年前、私が奴と対決したのも組織の命令である要人の護衛をしてた時、だったのだ。
さすがに彼は、子供相手に本気で殺そうとは思えなかったようだ。
だが、私と撃ち合っているうちに私相手に手加減したらやられるのは自分だと判断し、本気で撃ち合いになった。
結局、私との決着はつかなかった。
そこに、カオスが現れたからだ。
私とカオス相手では部が悪いため、エールは引いたというわけだ。