震える牛を読んで

この物語の深さは、犯人が現役大臣とつながりがあるために、警察幹部と政界が組んで事実を変えて犯人逮捕という結末を迎えるということ。

それは、BSE問題という大きな問題を公表した場合、会社が潰れるだけじゃなく関係のない地方の牧場や会社まで倒産する危険性があるという政治的な判断があるということ。

何も知らない消費者やマスコミが、問題を大きく取り上げすぎることが、会社を追い込む。

ただし、真実が明らかにされないと被害者と遺族が浮かばれないという大きな問題も存在する。

現場で命懸けで動いてる現場の刑事にとっては、被害者遺族の最も近い位置にいるために、到底容認できないという大きな問題があります。

政治的圧力によって、真実をねじまげられ、現場の刑事を疲弊させていく要因をはらんでいます。

命懸けで、被害者と遺族のために捜査した結果が報われないのでは、現場の刑事にとって一つの事件が、ただの出世の点数稼ぎや杜撰な捜査や警察官の犯罪の要因にすらなりえるという問題をはらんでいるというわけです。

この物語の場合は、そこまでは取り上げてないものの警察官の天下り問題をあげています。

そして、警察幹部と大企業の結びつき、といっても今回の場合は、BSEという酪農業界を追い込むほどの理由があったのも事実なので、政治的理由を選択するのはやむを得ないのかもしれません。

理由は違えど犯人は、死刑か無期懲役刑が確定してるのだから、遺族や現場の刑事は納得はできないでしょうけど･･･。

そして、もう一つ重要なこと、それは検査による安全性をはっきりさせることにより信用を大事にすること。

隠蔽しようとするから、より信用がなくなるのであって、物事を隠さず安全性をはっきりさせることの重要性がはっきり書かれています。

BSEにかかった牛をすぐに処理したこと、感染する心配がないこと、それをより速く処理し、はっきりさせることが何よりも大事なのです。

とはいえ、扱いを間違えると酪農業界を追い込むことになるので本当に難しい問題です。

牛は、牛肉に牛乳と人が生きていく上で欠かせないものです。

だから常に、牛には感謝の気持ちを忘れてはいけないし、本当は処理という言葉もまずいんですよね。

牛は、人間のために生きてるわけじゃない、一頭・一頭に命があるんですから。

もちろん、野菜や米・他の動物も同じですけどね。

だからこそ、常に人は感謝の気持ちを忘れてはいけないんだと思います。

自分達が何故生きていられるのかを考えながら･･･。

話しはちょっとずれちゃいましたが、この作品は深い作品です。