美紀と恵里は、次に正拳の威力を強化する
練習をするに当たって松元に言われたことが、

「カラテにおける体重と強さについて、私はよくこう説明する。体重プラス握力プラス速さが、カラテにおける破壊力だ。」

「正拳がその威力を発揮するためのポイントは、まず第一にそもそも握り方がしっかりしているどうかにある。そしてそのカギを握っているのが小指と薬指、および親指なのだ。」

「握力でもっとも大事なものは小指と薬指だということだ。一見、短くて端にあるため”ひ弱な指”と見過ごされがちな小指と薬指は、それだけに日ごろから意識的にその強化に努めなければならないのである。」

これを前提に、1,正拳の握りのときに意識的に押さえ、固め、締めを強める
2,指立て伏せ
3,木刀の素振り
4,弓を引く
5, 小指・薬指による懸垂(最終的には小指一本)
6,荷物や買い物袋などを小指一本で持つ
7,電車の吊革を小指一本で体重を支える
8,空手着を自分の手で洗濯する

上記の中から自主練に適しているのが、2と3。
中でも「木刀の素振り」はかなり効果がある。

剣道を始めて最初に教わることが、竹刀を振り下ろす際に「雑巾を絞るように」ということ。
雑巾絞りは、最終的に小指の力を最大限に必要とする。
また、木刀を振ったときの絞りは、正拳の握りに相通じます。

そして、後は100円ショップで売ってるスポンジボールでの握力強化。

次の練習が、腹部の強化のために腹打ちの練習を行った。

美紀と恵里は、1ヶ月で背筋・腹筋・腕立て伏せを300ずつやれるようになっていたため、松浦は、腹打ちをやらせることにしたのだ。

下突きを交互に打ち合い。
Aが右を打ったら、次にBが右を打ち、続いてAが左を打ち、Bが左を打つ。
「右→右→左→左」と交互に腹を打ち合った。

初級者の頃は、腹の耐性がありませんので、50%位の力加減でやり、 段々と耐性がついてきたら、70~80%の力でやり、最終的には全力で打ち合いができるようになれるようにするやり方をとった。

上級者と多く叩いてもらうことでより、鍛えたのだ。
そして自分がいかに腹が打たれ弱いかを実感することで、より腹部を鍛える重要性に気づくことになった。

それが毎回の稽古後、コツコツと続けていくと、驚くくらいに腹が打たれ強くなっていった。

そして、二ヶ月が経ったところで腹筋も一か所だけではなく、腹直筋の上部、下部をバランスよく鍛えるために、筋肉を鍛えるのとは別に、衝撃に強くなるように別の練習が必要、 その一つが「バット叩き」
でその効果は

1,衝撃に慣れるようになる
2,打たれた瞬間に腹筋を硬くできるようにするための反応速度をあげることができる

バットで腹を叩く場所は、腹部の上部、鳩尾あたりを中心に、下部まで幅広く叩く。
実際叩いてみれば分かるが、下腹部より上部のほう が効くので、上部を中心に叩く。
また、右手、左手をバットを持ちかえて叩き当たる瞬間に腹筋をしめるようにする。

次にバットの先で腹を突きます。特に鳩尾部分を中心に
鍛えよう。正拳突きや前蹴りのような感じで、ただしあばら骨は、折れやすいので、骨に当たらないように注意することを念をおされた。

美紀と恵里は、仲間とこういった練習をするのは本当に地獄だった。

だが、その中でも新たに芽生えた友情もあり、少しずつ慣れていった。

次に、合気道をやることになり、前回り受け身、後ろ受け身、横受け身といった、合気道の基礎中の基礎である受け身をやることになった。

前回り受身をするときに注意すること
 
「自分の腹をみて、頭をしまうようにして、うでを支えにして、肩、腰と順番に地面につくことで衝撃をやわらげ手を柔らかくのびのびと出して体を支え、また、はじめに地面に付く手の位置は、左図のように 手刀の「刃」といえる部分をおもに使い、間違っても 手の甲で付くことの無いように気を付けること。 (ねんざ、けがの原因になるので)そこで、からだを丸く、腕を柔らかく使うために、 はじめは床に手をついた状態やしゃがんだ状態で、充分に受身を練習し、とくにしゃがんだ状態での後ろ受身は、 腹筋にも適度の刺激をあたえるのでウエストもしまってしなやかになるかもしれません。
 
後ろ受身は、こちらも頭をしまい背を丸めて衝撃をやわらげる事は、変わりらないが地面につく順番は、手~肩~腰の順ではなく足の甲~尻~腰~背の順番でついていき、また、腰~背が地面につく間に手で地面を打ち体にかかる衝撃をやわらげる。  
横受身をとる時も、前回り受身、後ろ受身と基本は変わらず。頭をあげ、背を丸く使って体全体で衝撃をやわらげる。
 
体をつく順番は、尻~腰~背中でついていき、また、この受身も腰~背が地面につく間に手で地面を打ち体にかかる衝撃をやわらげる。

打ち出す線の違い
練習相手にむけて打ち出すとき、正面打ちと横面打ちとでは打ち出すときの半身の場所が違ってくる。
 
正面打ちの場合、相手の中心にむけてまっすぐ手刀を 斬り下ろし、一刀両断”してしまう。 半身で相手に向かってまっすぐ進んでゆき、横面打ちでは、相手に打ち出させた正面打ちをよける心持ちで、相手の半身のつくる線の外側に進み出て 相手のこめかみ(側頭部)を、正面打ちのときよりも ななめ方向に打ち下ろし ”袈裟斬り”にする。

間合いについて
練習相手に打ち出す場合に、間合いを考えずに打ち込むと正しい動きが出来なくなってしまう事がある。
 
適切な間合いを取らずに不用意に相手に打ち出すと、かえってこちらが打たれるのだ。

乱暴に打つと、手刀部分では無く小指や指先などで相手を打ってしまう事もあります。 相手にも怪我をさせますし、自分の身体も傷つけてしまうので、丁寧に打てば、正確に打てるようになると同時に、手刀部分も鍛えられ頑丈になる。

手をこわばらせる状態というよりも、リラックスして指先まで神経が行き届いている状態が合気道の練習に向いている状態である。

相手を打つための目標
相手を打つ場合、きちんと相手を見てどこを打つかを確認しなければ、正確に相手を打つことは難しくなる。
 
◇正面打ちの場合
正面打ちは、名前のとおり相手の顔のまっすぐ中央の部分(眉間や鼻柱など)を目標として打つが、 単に眉間や鼻柱に当てるというよりも相手の腹まで斬り下げるつもりで、しっかりと打つ。

横面打ちの場合
横面打ちは、主に相手の”こめかみ”部分を目標として打ち込みこちらも、正面打ちと同じく目標に当てるよりも打ち抜くつもりで、しっかりと打つ。
早く乱暴に打つよりも、ゆっくりと正確な場所に打つよう心がける方が、正確な”打ち”を身に付ける早道になる。

華麗な投げ技や精緻な固め技にかくれて非常に大切な技術が”打ち”で道場で仲間と練習する場合、受身と同じくどうしても習熟しなければならない技術のひとつでまずは、丁寧に正しく打つこと。
 
◆正面打ち

気を付けてほしいのは、打つ側の右手とは反対の左手、左腕の動きです。 もちろん打つ側の手は、大変重要ですが、片方の腕のはたらきを忘れてしまうと、 打つ側の手刀の威力や正確さが失われてしまう事がある。右手で打つ場合は右足で踏みこむので、反対の左手側の動きを放っておくと 左側の身体が取り残されて充分に打つことが難しくなるのだ。
 
左手と同じように左足も、残してしまわないように進めてふんばると、 打ち負けて身体がのけぞってしまう事を防ぐことができる。

右手と左足、左手と右足は対になって身体を動かしているので、どちらか片方を放っておくと全体の体の働きが上手くいかない事が多いのだ。
一人で打ち込みの練習をするときは、木剣や杖を使って色々と打ち比べると、 身体の動きが良くわかる。

 
横面打ち
横面打ちでは、相手のこめかみを相手の半身の線からはずれた位置で打ちます。 手前の線は相手の正面打ちが当たってしまう線です。 打ち出させた正面打ちをはずして、相手の打つ線の外に半身を変えて横面を打つ。
こちらの打ちも、体全体で打つように心がけて練習すること。


体さばきは毎日の稽古でかならず稽古するので、どのような技の練習も体の運びがうまく出来ないとなかなか上手には出来ない。 という事は、体さばきがきちんと出来れば、もっと上達できるという事ではないか。
道場でも、稽古のはじめや終わりに練習しますが、もっとじっくり体さばきを練習してみること。
 
今回は、そのなかの「転換」と「回転」
回転する動きは、入身投げや四方投げを行う時にも行われる動作で、意外に練習中はそれほど気にしてこの動作をしていないが、回転だけを腰を落として素早く行うのはとても難しく、バランスをすぐに崩してしまう。

足の親指の付け根で回転するように心がけないと なかなか上手にこの動作は出来ない。試みに、かかとを重心にしてすばやく 回ろうとするとあっという間に転んでしまう。すこし膝を 進めてちょうど足の親指の付け根の真上程におくとふんばりやすくなる。
 
前後の足の間隔が狭い時は回転の動作も 行いやすいが、この動作をぐっと腰を落として(膝の角度が90度になる くらいに曲げて)すばやく回転しようとすると、すごく難しい動作になる。
でもあえて腰を落とし回転の練習をする事でそれよりも高い体勢での動作が 非常にやりやすく、又とても安定して回転する事が出来るようになる。

◆転換の動作(手刀を立てた状態)

一歩踏み出して転換する他に足を継いで転換する方法や、そのままの体勢で転換する方法など転換するやり方は、たくさんある。 その場その時で一番適した体勢で転換が出来るようにたくさん練習すること。
 
足を一歩踏み出しながら同じ側の手刀を出すが、転換する時にこの手刀が自分の身体の側に親指が向くように手刀をしぼるように立てる。
 
この手刀を立てしぼる動作を行う事で、練習相手に手をつかませて転換する場合に相手の身体を自分の伸ばした腕と手刀の上に乗せるように導く事が出来るようになる。

手刀の形と回し方
転換や回転を行う場合にも手刀の形や回し方も注意して行い、 練習相手がいる場合には、手刀を回す方向で、相手の動き方が大きく違ってしまう。
 
手のひらを上に向けた状態も手刀を立てた状態も指先までしっかりと伸ばしておく事が大切で、練習相手がいる場合は意外に、相手に気をとられて指先まで意識がまわらなくなる。 一人で練習すると、こういう所が意識しやすい。

転換(手のひらを上にした状態)
転換の動作をするが手刀は、最後に手のひらが上を向いた体勢になり、このかたちでは、練習相手に腕をつかませた場合、転換をおこなうと相手の身体を、自分の手刀と腕の下にもぐるように導く事や手刀と腕は、自分の中心線からあまりずれていない。様々な先生や師範の動作を演武などを拝見しても転換や回転の動作のときに手刀を身体の中央から離していなかった。
こういう部分は、意外に意識せずに練習しているのだ。

送り足について、送り足は、半身の体勢から前足を
先に出し引き続き後ろ足を進める歩き方。