桜子は、達彦とともに音楽学校を合格した。

桜子は、音楽学校に入学して真っ先に西園寺に挨拶に行った。

「先生、お久しぶりです。
これから、お世話になります。」

「有森君、よく来ましたね。

たったの半年で、ここまで腕を上げるとはこれからが楽しみです。

しかし、有森君に言っておかなければならないことがあります。

それは、あなたよりも腕のある生徒はたくさんいます。

しかし、決して焦ってはいけませんよ。

音楽を、楽しむということを常に心において勉強して下さい。

そうすれば、いくらでもあなたは伸びます。

忘れては、いけませんよ。」

西園寺の言った通り、自分より上の人間はたくさんいた。

だからこそ、勉強のしがいがあった。

桜子は、亡き父との約束を思い出していた。

源一郎は、「桜子が、本当にやりたいことだったらどんなことをしたって応援する。

だから、やれるところまでやってみろ!」

そして、斎藤の言葉も

「音楽は、あなたの人生を照らす光、音楽を諦めてしまったらあなたは輝けなくなる。

だから音楽だけは、諦めるな。」

お父さん・先生、やっと私はスタート地点に立ったよ。

夢を、必ず実現させてみせるからね。

心の中で二人に改めて誓った。

音楽学校初日が終わった後、学校から出た途端

ジャズが、聞こえてきた。

サイド・オブ・ザ・ストリートだった。

三次試験を、受ける時にも流れてきた素晴らしいサックスの音だった。

こうして、桜子は秋山と再会した。

秋山は、最初は相手にしてくれなかったが桜子が耳コピをやってから、秋山の態度は変わった。

秋山は、いろんな曲を弾いてみせてくれた。

そして、西園寺塾に行って一つの曲に対する厳しいレッスンが始まった。

そこで、同級生で素晴らしい演奏をする生徒がいた。

桜子の最大のライバルとして、たちはだかることになる。

彼の名を、岩城洋介といった。

そして、この地点での岩城のライバルは達彦だった。

この二人の腕は、飛び抜けていた。

そして、四歳の時からピアノをやっていたためにピアノの腕だけなら学年一の腕をもつ、るり子が桜子の前に現れた。