「元気?」
声をかけられ振り返れば男が立っていた。
一個下の、幼馴染。
『数年前からの数年後の夢』
「ない」
一言だけ返した私に対してアイツは
昔っから変わらない人懐っこい笑顔で笑った。
「だろーな!」
でも、
変わらないのは笑顔だけで
身体も
顔も
声も
頭の中も
変わってしまってる。
きっと夢も。
そりゃそうだ。
時間がたって
成長して
大人になっていっている。
「就職先決まってないんだって?
おばちゃんが言ってたって母さんから聞いた」
幼馴染なもんだから
親同士も仲良い訳で。
私のプライバシーなんかあったもんじゃない。
てか、昔のほうが
家が隣で親同士が仲良くて
小さいころから姉弟みたいに育って
いつも一緒にいたから
なんでもお互いの事知ってた。
私が小学校を一足先に卒業して
私が中学校に一足先に入学した。
それから
あまり一緒にいることがなくなっていった。
中学校も高校も違う。
家が隣なのに全く合わない日々。
お母さん同士の情報交換によって
いろんな事は知っていた。
彼女ができたこととか
彼女がすぐ変わることとか、
彼女が何人もいることとか。
アイツが県外の大学に行ってからは
その情報も聞かなくなった。
今は何にもお互いの事を知らない。
時間がたって
成長して
大人になっていっている。
私も
身体も
顔も
声も
頭の中も
変わってしまった。
でも
「なんか夢とかねーの?」
夢は、昔から変わってない。
それをアイツの前で言うなんてできなくて
質問に答えることはしなかった。
「自分はないの?もう来年じゃん」
逆に聞き返した。
言葉にしてすぐに後悔した。
聞くんじゃなかった。
「おれ?俺はね~」
楽しそうに夢を考える
アイツの顔見てたら
なんだか昔がとても懐かしくなって
よくわからない気持ちで
泣きそうになった。
「社長になるかな、
何の会社でもいいけどしゃちょ~!」
明るく答えるアイツに対して
明るく応える私。
「じゃあ早く社長になってそこに就職させてょ!」
笑って言う私に対して
アイツはやさしい顔をした。
それは
昔とは全然違う
「男の人」の顔だった。
「だめ」
なんだか自分の知らない人を
目の前にしている気持になってしまった
そのやさしい表情のせいで
反応が遅れてしまった。
「…あ、えっなん「だって」
私の言葉をさえぎって
かぶさってきたアイツの声と一緒に
アイツの影が
ゆっくりと自分にかぶさった。
「お前は、社長夫人、っしょ?」
そう笑いながら頭をなでられた。
その笑顔は
知らない男の人のようだったけど
でもやっぱり
昔からよくみてた懐かしくて
落ち着く笑顔。
「…覚えてたの?」
「忘れたことがない」
時間がたって
成長して
大人になっていっている。
身体も
顔も
声も
頭の中も
変わってしまった。
そして夢も。
グレードアップしていたんだ。
「大きくなったら結婚、するんだろ」
小さいころからの二人の夢。
今までに私だって恋をした。
好きな人もいた。
彼氏もいた。
恋愛をしていた。
でもいつだって戻るところは決まっていた。
「そうだよ」
そろそろ私たちは
また元のように一緒になって
今から数年前からの
今から数年後の夢を
共にかなえていくみたいだ。
==================
妄想…
幼馴染っていいなぁ~
私にはいません…
これは後輩が
「おれは、社長」って言ったから
思いつきました。単純。
あ~もう!!
==================