今朝も曇り空だ。梅雨入りして以来、ずっとこんな空が続いているような気がする。快晴の青空がみたいなあ、ホームに立ってそう思った。


 長編小説を書き終えた安堵感からか、この2日間、脱力感に襲われて、気力が萎えた。とにかく睡眠が必要だと思い、眠りに専念し、今朝、ようやく脱力感から解放された。気分を切り替えて、今日から新作に取り組む。

 新しい作品は、定年退職した元刑事が主人公のミステリー。警察機構から離れた主人公が出会った難事件、だが、一市民の主人公には何の力もない。無力感を抱きながらも、果敢と難事件に挑む老いた元刑事。その活躍を描くエンターテイメントストーリーだ。7月末に応募する。


 老いるということは、悲しいことばかりでは決してない。体力の衰えを嘆いたり、気力の衰えにがっかりしたり、負の要素こそあるものの、経験した人生の積み重ねが最大限に活かされる年齢でもある。


 倒産や大病を患い、年齢的にも初老に差し掛かった時、これからの生き方を再考する時期があった。その時、私は迷わず書くという道を選んだ。自信があったわけでも、成功を予感したわけでもなく、書くことに自信があったわけでもない。

 私の財産は何かと考えた時、一番に思い浮かんだのが「人」だった。

 私は、たくさんの人に出会ってきた。高校時代、たくさんの仕事をし、そこで出会った方々、卒業して東京に行き、受験して不合格になり、そのまま東京に居着いて、再びたくさんの仕事をした。そこでもまた多くの方々と出会い、笑い、泣いた。

 帰阪して後も、いろんな人に出会い、いろんな人と生活し、共に語った。書店時代は、地域の方々と毎日のように語り、大好きな本を熱く語ってきた。出版社勤務になってからは、人との出会いが加速し、様々な職業の方、様々な思いに出会い、取材することで、よりその思いを近付けることができた。それらのすべてが私の財産になっている。

 一杯しか呑めない酒を無理して呑んで、安酒場を放浪し、そこで私は、よりたくさんの人に出会うことができた。これもまた、かけがえのない私の財産になっている。

 そんな一人ひとりの方々を私は書いて行く。そう決めて、書き始めた。その先に夢が生まれた。今、その夢を目指して邁進している。老いることを武器にして、今日も私は頑張るっちゃだ❗