曇った空から小粒の雨が降り注ぐ。梅雨に逆戻りしたかのような今朝の天候、傘を持たずに自宅を出た。

 今日は終日雨が降りそうだ。傘がなくて大丈夫なのか? 自問自答するのはいつもの癖だ。大丈夫。小粒の雨なら濡れても平気。駅までの道のりを雨の攻撃を逃れることが出来れば、後は長堀まで雨に濡れる場所はない。問題は、長堀で地下鉄を下車してからの道のりだ。約2分ほどの短い距離だが、強い雨だとさすがにつらい。小粒の雨ならへへへのへ。濡れても平気。しっかり受け止めて小走りに歩く。問題は髪の毛だ。天然の私の髪の毛は、雨に濡れるとくるくるとウェーブする。それはそれでかわいい(自己申告)のだが、何しろ73歳6ヶ月だ。かわいいというよりも不気味に映る。キャーッと絶叫されたらつらい。やっぱり傘を持って出た方がよかったかなと、今頃、後悔し始めている。


 午前中、イラストセミナーを行う。絵本づくりが一段落し、今日から植物の描き方を始める予定だったが、予定を変更して植物のぬりえから入ることにした。

 見本の絵画を参考に、その絵画と同じ色づかいで塗っていく。そうすれば、植物の色彩が一通りではないことが理解できる。いきなり植物を描いても従来の色彩概念から抜け出すことは難しい。ぬりえを体験して、植物の色彩が一通りではないことを理解していただければ、実際に描く時に少しでも役立つのでは、そう思ってのものだ。今日から始めたい。


 午後に京橋へ行き、出版を希望されている方とお会いする。出版するに当たって、さまざまなことを初めにお話しておかなければならない。それは大抵マイナスなことで、出版を希望する方の夢を壊してしまう場合もある。だが、現実の話をしっかりしておかなければ、お互いに後で後悔することになる。まずお金が必要でそのお金が戻ってくることは期待できないということ(自身で販路を持つ人なら別だが)。純粋に自身の足跡を残すことを真剣に考えている人は歓迎だが、間違ってもベストセラーなど夢見ている人は、その場でお断りする場合がある。今回もそのことをしっかりお話するつもりだ。

 午後も雨になるのだろうか? 傘がない。今はただ、それだけが心配だ。