2ヶ月に一度の定期検診の日、何も食べずに家を出た。辛くも水だけはコップ一杯、口にしたが、空腹状態はマックスに達している。
 食べられないとなれば余計に食べたくなるのが人情だ。せめてコーヒーだけでもと思うのだが、医師には固く禁じられている。食べ盛りの71歳にこれはきつい。2ヶ月に一度のこの日は、私にとって試練の日でもある。ひたすら耐えなければならない。だが、検診が終われば、その時は食べてやる。思い切り食べてやるぞ。心に固く誓った。

 曇り空から晴れ間が覗く。満員電車の車窓から眺める空はいつも美しく、押し合いへし合いする中で眺める豊かな景観は、たとえそれが雨の日であってもきれいに見える。顔が潰れそうな車内の混雑の中で、この時、私は一人の詩人になっている。でも、苦しくて痛くって、一編の詩も詠まれることはないのだが。

 今日もまた気忙しい1日になりそうだ。急ぎの仕事がいくつかあり、それを片付けるだけで、あっという間に1日が過ぎてしまいそうだ。それでも今日も精一杯頑張りたい。71歳、まだまだ青春が続いている。