流星の間2
街がオレンジ色に染まり溶けてゆく…
それは、カリブとか長江の岸辺、三丁目のそれとも違うのです。
そんな陳腐な比喩表現を滅する程の皮膚感覚な、夕日。
眼底に容赦なく、飛び込んでくるオレンジの光線。
ロスアンジェルスに来ている事を自覚出来るか出来ないかぐらいの短い時間の中で、
ふらり立ち寄ったホテルの隣のヨロズヤ…
日本では3000円程のカリフォルニアの有名ワイナリー、
ロバート・モンダビの白ワイン、シュナンブランが、1000円強という、
クレイジーなプライシングに瞬く間に魔法にかけられ、
二泊三日の時間の中で何度も通った。
そして、朝に、晩に、ここぞとばかりに飲みまくった。
それが善、それが3年B組純情先生、とばかりに飲みまくった。
そして、最終日にはヨロズヤの、そのワイン在庫は消えていた…
残ったのは、
店主ボブとの国境を越えたゆるやかな友情にも似た感情だった。
相部屋になったNさんに、
夕暮れのオレンジを浴びながら、
ワインを恍惚の表情で飲む風景を目撃され、
新手のホモと思い込まれた事以外は、
ロスゥアンジェルスは、
至極快適なステイだった。
同行した、Tさんの嫁ハンとのアナルセックスの話を
特盛りで、一晩中聞かされた以外は、いいトリップだった・・・
10年前のロスへの旅がこの夏の夜へ繋がっていくとは、
思いもよらなかった…
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10年前、とある異業種交流会に一年間参加した。
それは、県下20社程の企業からそれぞれ集まった人間が月一回、
一泊二日で与えられたテーマに基づいて議論するものだった。
と、それと同時に年間目標として、
最終的に何かのテーマを見つけ海外研修に行くというものもあった。
しかし海外研修に関しては、企画立案したら行けるものではなく、
それを参加企業の社長会でプレゼンして、
承認されなければいけないのです。
このプレゼンが一回で通る事は稀で、
私の時もやっとこさ承認を貰った挙句の研修旅行だった。
それが、前述した、
2泊3日のオレンジ色に消えたロスアンジェルゥゥゥスゥの旅でしたの・・・
書き記した通り、たいした収穫もなく終わろうとしていたその旅の
帰国の飛行機の中で、
この会を主催している講師の先生と
隣同士の席になった・・・
約8~9時間ぐらいのフライトの中で、
不思議に思った事があった。
その先生は
65歳前後の講師の先生なんだが、
体重が余裕で100kgぐらいあり、
どう考えても、百貫デブ。
誰が見ても、間違いなくピカ一で、デブ。
そんな先生がピッチピチでエコノミー席に座っているのに、
シートベルト着用のサインが消えても
シートのリクライニングを倒さないのである。
「先生、シート倒さないの?」
と聞くと、
「倒すと、後ろの人が狭くなるだろ。」
とかく、自己のエゴをなりふりかまわず、
最優先に満足させようとする現代・・・
他人の事など、そんなの関係ねぇ、な世の中・・・
『なにかが狂ってる、何かがおかしいよ、現代は!』、などと
皆は、わかったような口ぶりで、声高に主張しているが、
はたしてどうだろう・・・
田舎の親の事を毎日想っている?
会話さえ少なくなってきた思春期の子供達に向かい合ってる?
奥さん、旦那さんの事、毎日見てる? リスペクトしてる?
黄信号で、とまってる?
外食した時、お店の人が片付けやすいようにしてる?
スケールの小さい尾崎豊のようになったが、
少し、他者を思いやる気持ち。
ほんの少し、だ。
少し、自分が我慢すれば、ある人が笑顔になれる。
我慢とも言わないぐらいの、我慢で・・・
「まず人を思いやるんだ。
無意識な自己優先をして、人に迷惑かけちゃだめだよ。」
先生にそう言われた気がした・・・
それ以来、僕はあらゆる交通機関でリクライニングは倒していない・・・
そんな人生の大きな収穫を、この旅の終わりに手に入れた・・・
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そして、
2007年晩夏。
かつて、10年前に熱く、そして無鉄砲だったアイツらが
同窓会的ニュアンスで、この夜、
とあるイタリア料理店に集まった・・・
そして、教訓が蘇る・・・