繋がる。繋がる・・・
ガランゴロォーーーン、ガランゴロォーーーン・・・
酷く冷めた室内に染み込むように、その荘厳な鐘の音が
溶け込んでいるのを自覚したのは、その音が鳴り始めて
6分ぐらい経った時だっただろうか・・・
はっきりと分かる異質な朝の空気にまどろみながら、次第に
己の後頭部付近から覚醒していく感覚を感じながら、
窓のカーテンをまさぐるように左手ではねのけると、
中学時代片思いだった、千恵ちゃんのように、
圧倒的な存在感で眼前に聳え立つ寺院の最上部で、
80歳オーバーのバーさんが乳母車を押すぐらいの
スピードで、ジェームス・ボンドが劇中ボンドガールを
口説く時作り上げる、かけひきをたっぷりと混入させた
どっぷりとした余裕のようなものを放ちながら、鈍く金色に
光る鐘が、前後に揺れていた・・・
その動きとワンテンポ遅れてくるその音が、眼前の風景と
コラボレーションして耳に届くと、地の底からとてつもない
感動が、アルマゲドンの結末のように湧き上がってくる・・・
数年前、フランスのブルゴーニュ地方、ジュヴレシャンベルタン村を
旅した時、TVもない、コンビニで買い物をするノーメイクだがやたら
美人にみえる女のような、控えめでシンプルな素敵さを醸し出して
いる宿に泊まった。
翌朝、オレはそんな感動的な情景を目にし、単なるブルゴーニュワイン
好きという白帯ちゃんから、ブルゴーニュ自体を愛してやまない、
愛の黒帯ちゃんに昇段した瞬間だった・・・
今、闘っている相手からは、そんな特上の感情がこみ上げて来た・・・
話は一年前に遡る・・・
少しソフトバレーに飽きちゃっていたオレは、県のPTA幼稚園の男女混合MIXの
試合に、誘われるがままに出場する事になった・・・
適当に試合をしていると、2試合目に当たったチームの女性に釘付けになった・・・
高校の時のバレーボール部の主将だった子だった・・・
お互いコートの中でネットを挟み、
「エーーーーーーーーーーーーーーッ!」と驚嘆の声をあげた。
その彼女とは高校時代は全く面識は無かったが、高校を出てから
ツレの友人という事もあり、何度か遊んだだけだが、
こんなトコで再会するとは、1ミクロンも思っていなかった・・・
それ以上に彼女は、オレが何でバレーやってんの? という事に
驚いていたが、間もなくして試合の開始を告げるホイッスルが
鳴った・・・
試合が始まると、彼女よりその同じチームの一人の男性のプレーに
目を奪われた・・・
とにかくコート全体を支配しているかのように、おもしろいように
ポイントをあげてくるのだ・・・
こちらをあざ笑うかのような、軟攻・・・
かと思えば、ブロックの間を見事に抜く、スパイクゥゥンンン・・・
ブロックにとべば、こちらのブロックをなするかのように、
ワンタッチアウト・・・
成す術が無かった・・・
そしてその彼女もこちらのコートの状況を肌で感じているかのように
多彩な攻撃をしかけてくる・・・
1セット目が終わった時点で、同じチームの男が、
「あれ、県のトップチームにいる男だYO!!!!!」と素敵な台詞を
吐いてきた・・・
まさに、トップクラスのプレーにあいまみえた瞬間だった・・・
2セット目も状況は変わらず、完敗だったが、途中から
その男性プレイヤーのアメリカンジゴロのようなプレーに
あのブルゴーニュの朝に感じた、湧き上がるような感動を
感じていた・・・
そして、メリメリとソフトバレーに対してやる気が隆起してきた・・・
試合後、彼女に声かけにいくと、「紹介するわ、コレ旦那。」
と、そのアメリカンジゴロを指差す彼女・・・
つー事は、アンタもそのトップチームの一員なんすか?
と尋ねると、
「まぁ、私はなにもしてないけど、一応ね・・」と。
いつかそこまでのプレイヤーになって、彼女を驚かせたいのと、
不思議と、ツマんなくなりかけると、こんな嬉しい不意打ちがある
ソフトバレーとの不思議な繋がりを感じながら、今日も上手くなる
ために頭の中でぐるんぐるんと考えるんです。
