すれ違いの街角・・・
街行くすれ違う人の流れに、人生の機微を見出すような、
ロマンティなこの温かな心・・・
宿る魂の柔らかな物腰を確かにこの夜、発揮出来たと、
深く、そして永く己の記憶に刻まれる事が確定したような気がした・・・
著名なインテリアデザイナーの手掛けたイスに座る時感じる
静寂を帯びた高揚感に似た、この幸福感・・・
間違いなくオレはこの10年間に及ぶ結婚生活に、あるピリオドを
打ったと思う。
時間を重ねるにつれ覆う、曇天のような感情・・・
デヴィット・リンチの作品を観るような、難解で出口のない
このラビリンス・・・
高級なデニム生地のような、しなやかな強さを持った心の膜が
取りさらわれ、露呈する生まれたての白い山羊のような感情が
ぬかるみにわだちが残るように、その姿を現す・・・
日常の中で、「ありがとう」と言えない事への苛立ちは、見事に
昇華され、それと等価交換するかのように、オレは一枚の
コンパクトディスクに想いを込めた・・・
伴侶に対する、10年の間の感謝の気持ちを表現する為に、
彼女にCDを焼いてあげた・・・
誕生日にも何もあげないオレが、初めて己の意思で、
伴侶に対する優しさをマック鈴木、いやMAX表現した夜だった・・・
選んだCDはコレだった↓
- 徳永英明
- VOCALIST (通常盤)
徳永英明が女性アーティストの曲をカヴァーした
しっとりとした話題の一枚・・・
彼女の好きな曲も沢山入っているし、それを徳永節で調理・・・
最高の一枚だ。
「これ焼いたから・・・」
伝説的な言葉がオレの口から放たれ、
この曲でオレの想いを感じてくれるように、と淡い期待を
特盛で同封して、渡した・・・
「何、コレ?」
「聴けば、分かるよ・・・」
翌日の夜・・・
「私、徳永英明、すかんのやけど。結婚して10年も経つのに
そんなんも、知らんかったん?(怒)」
人生はいつも、すれ違いの街角・・・
夫婦をそれに置き換えるような無粋な事はあえてしないが、
憤怒する伴侶を横目に、オレは静かに目を閉じ、
バッターボックスに立つアイツに4連続でデットボールを
くらわし、金髪美女4人とツイスターゲームに興じる映像を
脳裏に流しながら、ヨメから強制的に日課とされている、
翌日のごはんの米をとぎつつ泣くしかなかった・・・
滅びちゃえ、オマエなんかっ!
