日韓国交正常化50周年を迎えて④ | 第31回 日韓学生フォーラム

第31回 日韓学生フォーラム

31期メンバーが、来年夏のメインフォーラムまでの活動を随時お伝えしていきます。説明会・合宿などイベントの詳細も更新します。


今年は日韓国交正常化から50年となりました。


実行委員リレーのトリを務めることになりました、渉外の地引です。


単刀直入ですが、私が日韓について言いたいこととしては、二つあります。1点目は我々個人がより広い視野を持つべきであることです。
2点目は隣人は引越しをしないということです。



韓国には何度も訪問した私にとって、両国関係が変化することは至極当然のことであると考えます。

10年前のソウルの中心、ミョンドンでは店員が日本語で客引きをするなど日本人観光客が目立っていました。

翻って今年の1月にソウルを訪問した際に痛感したこととしては、まるで中国にいるかのような錯覚に至るほど看板から会話までが中国語となっていたことでした。







まずは、韓国と中国がここ数年でいかに経済的な相互依存関係を結んできたかということに気づかされました。



現在どうして韓国は『中国寄り』といわれるような政策を取るのか、むしろ取らざるを得なくなっているのかが街の様子からも見えてきます。

突然ですが、1965年は日韓国交正常化を果たした一年であると同時に、シンガポールがマレーシアから独立をした年でもあります。


シンガポールは、東京23区とほぼ同じ面積の東南アジアの島国です。

今では一人当たりのGDPは、60000ドルを超えるなど非常に裕福な国へ成長しました。一方の日本は約36000ドルとなっています。



単純に比較するにしても、産業構造や国土など大きな違いはあります。しかしながら、国土が東京23区ほどしかない国が成功を収め、経済で日本を超えアジアの頂点に君臨しているという現実があります。

シンガポールから、全て見習えと言うつもりはないですが、この50年間進めてきた政策が着実に実を結んだのではないかと思います。特に教育・観光・移民政策といった分野に関しては目を見張るべきなのではないかと思います。

今後我が国は、グローバル化や相対的なプレゼンスの低下を経験するでしょう。そんな中で、我々は何を以て国際社会に貢献できるかを改めて考える必要があるのではないでしょうか。





2点目についてです。地理的な近さについて改めて認識する必要があると思います。かつては、仏教や儒教、陶磁器の技術など様々な文化が朝鮮半島を経由して伝えられました。近現代では、西洋流の近代化を遂げた日本が韓国に対して技術協力を通じて、経済発展に貢献したこともまた事実です。現在は、グローバル化や通信技術の発展により、両国間の重要性はかつてほどではなくなっています。

そんな中で、未来志向の関係を築くためには何が必要なのでしょうか。
一つ目としては、北朝鮮に対する取り組みです。朝鮮半島では、冷戦が終わっていないという事実をどれだけの人が認知しているでしょうか。朝鮮戦争は、あくまでも休戦状態であり、終結はしていないということを、もつと再認識すべきだと考えます。日本のわずか1000キロの場所で、脅威が存在し続けているのです。



二つ目は、感情を抜きに一つのステークホルダーと考えることです。具体的には、第三国における共同ビジネスが考えられます。特に日本と韓国は共通点がたくさんあります。地理的な近さの他に、産業構造という点でも共通しています。特にエネルギー分野では、利害関係が一致し、日本の総合商社と韓国のガス会社が共同してビジネスを展開しています。

こうした二つの理由から、隣国と良い関係を築くことは合理的に適っていると言えるのではないでしょうか。



夏のメインフォーラムでは、現代両国が抱える諸問題について真剣に議論する場にしたいと思います。私共はしっかりとした根拠に基づき議論を深めたいと思います。そのために、各分科会は事前のフィールドトリップを通じて有識者や様々な会議に参加することで、各メンバーが成長できるような環境を整備できるように尽力しています。

本会議では一人一人が日韓関係について、真剣に議論する場を提供できるように努めてまいりたいと思います。



長くはなりましたが、私が現在日韓関係に対して抱いている考えや思い、そして実行委員のメンバーとして活動してきた感想です。



事前合宿も終わり、いよいよメインフォーラムを迎えます。濃密なメインフォーラムにするという決意を以ってOC挨拶を終わらせていただきます。